第6話 地上に立つロボット


「シャムニャンを上に運んで治療しないと」


『追加の命令を確認。対象の修復を開始します』


「治療もできるのか?」


 脅威が去り、急いでシャムニャンを救急車が呼ばれているだろう地上に連れて行こうと思うと、バビロンがシャムニャンを治療し始めた。


『対象にスキャンを実施。人体構造把握。対象の背骨と肩に損傷を確認。リペア』


 シャムニャンが青い光に覆われるかと思うと、身じろぎをして身を起こす。

 背骨はかなり重症だと思うのだがさっきので完全に治ったようだ。


「うーん? ここは天ご……ふにゃあああ!? 巨大ロボットにゃん!!」


 バビロンの姿を確認すると目を皿にしてシャムニャンは喫驚した。

 彼女からしたらケルベロスにやられたと思ったら次は味方か敵かもわからない巨大ロボットが現れたのだから、驚いても仕方ないか。

 敵だと思われて攻撃される前に説明しておこう。


「すみません、これ俺のスキルなんです」


「その声はさっきの高校生くんかにゃ!?」


「そうです! さっき話かけてもらった高校生です!」


「……にゃるほど。 状況が読めたにゃ!! 高校生くんがスキルを使ってシャムを助けてくれたってことにゃんね!! ありがとにゃん!!」


「いや、俺がというよりもスキルの性能が良かっただけで」


 俺というよりほぼバビロンのおかげだからな。

 確実にあそこでバビロンが来なければ、シャムニャンもろともケルベロスにやられていた。


「スキルの性能も高校生くんの力にゃ♪ 君は命の恩人にゃ♪ さて地上に戻って皆を安心させにゃいとにゃ♪」


「そうですね……。 行きましょうか!」


 スキルも俺の力か。

 今までスキルを持ってなかったし、バビロンは意思を持っているので俺とは別のものとして考えていたが、こいつも俺の一部なのか。


『私とマスターは同体です。マスターの意思によって動き、マスターの幸福が私の喜びです。何よりもマスターのステータスが私に反映されていることがマスターの手足──肉体フレームである証拠です』


「俺のステータスがバビロンに。レベルの割に一切能力が変わらない気がしたけどバビロンの方に行ってたのか。てことはあの馬鹿高いステータス全部本当だったのか!?」


 確かにあのステータスならあのダンジョンを破壊する災害レベルのモンスターを一方的に倒せたことも納得できるかもしれない


「でもなんで勝手にレベルが……」


『“最強になり、配信者となって一発当てる“というマスターの命令に基づきレベリングを行った影響と推測されます』


「あれのために今までずっと頑張ってくれてたのか……」


 配信見ながら思いついた願望を漏らしていただけけなのに、四六時中頑張ってくれてたと思うと居た堪れないな。

 というよりも俺がロボット召喚を唱える前に動いてたのか。

 ステータスが発現した時からもう既に召喚されてたんだな、バビロン。


「なんか悪いな」


『いえマスターの願いは私の願いです。それにまだ命令が遂行できていません。現段階では人類段階の最強しかクリアできておらず、モンスターも含めたこの世全ての存在の最強をクリアする必要があります。今回の命令が完了した後に再びレベリングに戻ります』


「最強についてはもう十分だから。俺が地上に戻ったら休んでくれていいよ」

 

 思いつきのことなのでそこまで頑張ってもらわなくてもいいからな。

 実体化を解除してゆっくり休んでもらおう。


「さっきから静かにゃんけど、大丈夫にゃん? 無理してるならスキルを解除してシャムが背中を貸してあげるにゃんよ?」


 命令のことについてくさくさと考えていると、シャムニャンが尋ねてきた。

 どうやらバビロンと話をするときは外に声が漏れない仕様になっているらしい。

 シャムニャンを心配させたのはあれだったが、個人情報が漏れなかった分には良かったかもしれない。

 スキルの情報が外部に漏れるとどんどんと拡散されてて果てに悪用されるとかいう話は有名だからな。


「ああ、考え事してただけですから大丈夫です」


「まああんなことあった後しょうがないにゃ。にゃんもスマホが壊れてて……。ニャ!? にゃニャーン!??」


「ど、どうしたんですか?」


「壊れたスマホが震えまくってるにゃん!! 液晶がバキバキだから何がおこてるのかわからないけれど、炎上した時と同じ震え方にゃん!!」


『対象の機器の通信を傍受しました。マスターについて尋ねるメッセージが大量に送られてきているようです』


 モニターの一部にSNSのリプライやメールが表示される。

 表示されているのは一般の人から俺の素性を尋ねるメッセージやシャムニャンが関係してるだろう企業の人から俺を勧誘するように頼むメッセージ。

 確かに全て俺関係の事柄だ。

 やはりというかバビロンの力は攻略者関係の人たちにとっても破格なものだったようだ。

 仕事の依頼を素直に伝えるのも負担になるし、俺も将来に決断をここで迫られても困る。

 このことは見なかったことにしよう。


「家に帰ってからが大変そうにゃんね……。とりあえずも進もうかにゃ。もうすぐ地上だし」


 確かに地上への門がもう近い。


「そろそろ下ろしてくれるか。バビロンを外に出したら騒ぎになりそうだし」


『地上ではステータスの反映とスキルの効力が1000分の1ほどに下がり、私も小さくなるので大丈夫です』


「大丈夫って言っても、ロボットは目立つだろ──」


「ふう、やっと地上にゃん」


 話している内に地上に来たようで、シャムニャンが気の抜けた声を出す。

 すると景色が一瞬にしてコクピットから外になり、バビロンが光に覆われて小さくなっていく様子が見えた。


「休止命令に基づきバトルスタイルを解除。オフスタイルに移行します」


 人間くらいの大きさになると光が溶け、人間サイズのバビロンが姿を現すかと思うと純白のメイド服姿の青目プラチナ髪の美少女が姿を現した。

 か、可愛い。

 俺の要望に合わせて人に姿を変えたようだ。

 地上でもこれで大丈夫になったな。

 恐ろしく対応能力が高いな、こいつ。






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