裏切者の本屋~9通目の手紙の考察

9通目の手紙の考察 


「木にあれ掛けたのって本屋さん?」

「いや、あれは自分が置いた訳じゃない」

 これは、颯太と本屋の会話だ。なんだか少し、違和感はないだろうか?

 

 颯太は、掛けたと言っている事から、ゆいの事件について言っているのだろう。だが、本屋は置いていないと言った。

 この事から、本屋が言っているのは唯花の事件の話だろう。


 ゆいの事件は公になっていない。だから、颯太たちと犯人以外はゆいが行方不明になった後、ゆいの巾着が木に掛かっていた事を知らない。

 もしも本屋が犯人なら、颯太の質問にゆいの事件と捉えて答えてしまうはずだ。

 だが、本屋が犯人でも、颯太の言う通り関係のない人が落とし物だと思って掛けていたなら別だ。


 また、本屋はその後、颯太が誰かが掛けたと解釈した時

「……あー、そうじゃないか」と言っている。本屋はここで、この事に気が付いたかもれない。もし本屋が本当に犯人で、この事に気づいたならこれを利用して、犯人じゃないように振舞う可能性もあるだろう。

 でも、本屋は颯太に犯人だと気づかれているのに、何もしなかった。そこを重視すると、本屋は犯人じゃないように思える。


 また、芽依たちが町会長を疑がった理由に、町会長は背も高いし怖いからと言っていた。

 一通目の手紙の考察で、ゆいの行方不明事件に関わっているのは、身長が高い人だと考察した。そう考えると、その人が町会長の可能性も出てきた。

 

 なぜ、ゆいの母親がいたのだろうか。帰って来たのか。元々引越していなかっただろうか。ゆいの名字は雨宮。誘拐犯の一人のアルファベットは颯太だった。

 ゆいの母親は被害者家族のため、誘拐犯ではないと考えていた。だが、本屋とも会っているし、誘拐犯の可能性が高い。








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