第22話 再生2
「へぇ、なんか殺気立ってるな」
周りの空気が冷たく感じるほどだ。
「そうなのか?」
「そいつがあんたの言ってたやつか?」
片腕のない男が言う。
「そうだ。実績もあるぞ?」
「なら薬を早く」
と腕を伸ばしてくるが、
「金が先だな、これだけ殺気立ってるんだ、踏んだくられたらこっちも困る」
「そんなことするか!薬を寄越せ!」
怒鳴るだけならガキでもできる。
「ならこの話は無しだ」
「ま、待てよ。ちょっと話し合おうぜ?」
直人がそう言うから折衷案を出す。
「ふぅ、とりあえず前金で40億、薬を使って治ったら40億だ!」
「な!わかった!渡してやれ!」
アタッシュケース40個用意される。
収納に入れると中身は問題なさそうだな。空のアタッシュケースを近くに積み上げてやる。
「な!収納持ちか!」
「ほら、これが薬だ」
手渡してやる。
「こ、これで!」
蓋を開けると一気に飲み干す。
「グァァアァア」
「雷!」
「ァァアァア!」
腕が逆再生されていく。
「ガハッ!はぁ、はぁ、はぁ」
「良かった!」
「クックックッ!やったぞ!俺の腕が!」
にぎにぎと、手のひらを動かして感覚を確かめている。
「さて、残りはあれか?」
「あ?もうお前は用無しだ!やっちまえ!」
「ほらな、サンダーショック!」
俺は待ってましたと魔法で全員を麻痺させる。
「アガッ!」「アババ」「ウグッ!」
「おいおい、こんなんがナンバーワンなのか?」
アキでも勝てるな。
「ウグッ!くそ!」
「その腕もらってもいいんだぞ?」
と黒鉄の剣を抜くと、
「わ、悪かった!金は持っていってくれ!だ、だから」
「はぁ、最初からそうしておけ!」
アタッシュケースの中身を抜き、空のアタッシュケースを積んでいく。
「お前もつるむのは控えたほうがいいんじゃないか?」
声をかけると直人の顔から笑顔が消えていた。
「おいその剣貸せよ」
「は?なんでだ?」
「こいつは俺を裏切ってお前まで裏切った!罪を償わせる」
「…やめとけ、似合わないぞ?」
と言うと直人は落ち着くように深呼吸して、
「…はぁ、こいつとは縁を切る!じゃーな!雷」
「くっ、悪かった」
とその言葉だけが部屋に残った。
「悪かったな!ここは俺が奢るよ!」
「俺の方が金持ちだ!奢ってやるよ!」
「くそっ!まだ駆け出しの頃はあんなやつじゃなかったのに」
「そんなに長い付き合いなのか?」
「長いっても、お前と比べりゃ短いよ」
「まぁな!」
この直人とは長い付き合いだからな。
その日は飲み明かして、代行で帰った。
「…ただいまっと」
「お帰りなさいませ!」
とルメラに支えられベッドまで行く。
「少しばかり飲み過ぎですね?」
「あはは、ちょっとな」
アーシェが入って来て水を差し出してくれるので一気に飲み干すと夢の中に入っていった。
気付くと朝靄が出ているな、と窓を開けると少し肌寒く感じる。秋になって来たなと思いっきり背伸びして体を動かす。
流石にグータラしてるわけじゃないので昔のように下腹が出てないし、逆に筋肉質な方になっている。
「おはようございます」
とルメラがドア越しに言うので、入ってもらう。
「少し肌寒くなりましたね?」
「日本には四季があるからな。そういえば向こうはいつでも同じような気候だったなぁ」
「はい!四季とは初めて聞きますね」
「春夏秋冬、今は秋になるくらいの季節だよ。秋服を買いに行かないとな!それから冬はもっと寒くなるからイライザなんかは特に寒がるんじゃないか?」
「あら、そんなに寒くなるんですか?」
「そうだな雪ってのが降るからな、まぁ、楽しめばいいと思うよ?」
「はい!」
パソコンでネットショップを開いている。
「あ、これ可愛いですね?」
「それよりこっちじゃない?」
「…これ!」
とみんなでワイワイとネットショップに夢中になっているのでスマホをみんなにプレゼントしよう!
みんなで車に乗り込むとまずはスマホを買いに行く。みんな真剣に使い方を聞いているな。
これでどこにいても連絡がつくな。
スマホのアクセサリーなども買ってフィルムも貼ってもらったから大丈夫だろう。
車の中ではみんな黙々とスマホをいじっているが、途中で酔ったみたいで静かに外を見出した。
「あはは、まぁ、あるあるだな」
「うぅ、気持ち悪いです」
「もうちょっとだからな」
とウニクロについて地面に足をつくと元気になったようだ。
ふぅ、吐かれなくて良かった。
ウニクロでは好きに選んでもらう。
欲しいもののサイズがあるので5人ともはしゃいでいるな。
それなりに買って今日は弁当屋で夜飯を買う。好きなものを選んでもらい、あとは適当に買って酒のつまみだな。
途中でビールに酎ハイなども大量に買っておく。酒屋に入ったのが間違いでイライザやルメラがこれでもかといろんな酒を買うが、しょうがないだろうな。
「じゃあ乾杯!」
「「「「「かんぱーい」」」」」
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