足跡の無い未来 

@chapio508

第1話 話したかった人

ひな Side


びしょ濡れで街を歩いていた廉の姿を見て、無視するなんてできませんでした。

例え、報道があってからずっと、上からの指示で連絡が取れなくなっていたとしても。

(ちなみに、びしょ濡れの廉を見て、私のマネさんは目をまん丸にして驚いていました。また、翌日マネさんが上からちょっと怒られました。(笑))


「大丈夫?」

「うん。ありがと、これ。着替えまで、助かった。」

渡したホットミルクを手にして、少し目に光が戻って落ち着いたようでした。

「ううん。ごめんね、それ。お父さんがこの前泊りに来た時のやつだから、少し廉には大きいでしょ。」

「ふふ。いや、全然。ひなの親父さんって、背が高いんなぁ。」

「私はちっちゃいのに、って?それ、ジュニアの時から何回も言われたわ。」

「よう言ってたわ、大吾と。親父さん、レッスンの送り迎えとかで事務所来てたもんなぁ。」

「懐かしい。廉と、大吾と、しょーくんがいて。みっちーとか謙杜は、まだ入ったばっかやったねぇ。」

「恭平もそうやろ。

…あの頃が、懐かしいわ。時々、戻りたくなる。笑えてたあの頃に。」

「…そっか。

ねぇ、廉。何があったん。しょーくんと、何があったん。話してよ。」




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