第46話 ラファエルの秘密が・・・
他のメンバーが風呂に行ったのもあり、私はさらしを巻くべく鎧を脱ぎ去り、裸になった。
ふう、鎧を脱ぐと体が軽く感じる!しかし・・・ガチャりとカギを回す音とともに突然部屋が開き、バン殿に裸、しかも胸を見られてしまった。
後ろを向いていればひょっとしたら女だと思われなかったかもだが、胸を見られたからには誤魔化しようがない。
「ごめんなさい!部屋を間違えました!」
バン殿は叫びながら出ていった。
終わった・・・よりによって裸を見られた!貴族の子女に生まれたからには、肌を見られた以上、夫に・・・その前に、バン殿は風呂に行ったはずなのでは?何故現れたのだろうか?忘れ物だろうか?どちらにしても迂闊だった。
狼狽えつつも私は急いで服を着ると、そっと扉を開けた。
そこには鍵と部屋番号を交互に見ているバン殿がいた。これから私は彼のことを【主殿】と呼ぶ決意をし、部屋に入ってもらうことにした。
「バン殿、部屋はあっております。中にお入りくだされ」
彼は恐る恐る私の胸元を見て顔を逸らした。
もう見られてしまったので、さらしは巻かずにシャツを着ただけだが、気恥ずかしいのだろうか?シャイなのか?
「バン殿、見苦しいものを見せてしまった。先程見られてしまったので誤魔化しようがないのだが、私は女なのだ」
「ごめんなさい!てっきり男の人だと思い、ノックもせずに部屋に入ってしまいました!その、肌を見てしまいごめんなさい!ごめんなさい!」
私が女だと打ち明けたら、彼は土下座をし、肌を見たことを何度も何度も謝罪してきた。
「主殿、頭を上げてくだされ。私はこれまで男に見られるよう振る舞ってきたのだ。こちらこそ女であることを隠していて申し訳なかった」
それしか言えず、伝えていなかったことを謝罪したら、彼はあわあわしていて、つい笑ってしまった。
バン殿はようやく落ち着きを取り戻し、私に向かって深く息を吸い込んだ。
「ラファエルさんが女性だと知って驚いたよ。でも、これから同じ仲間として大切にするから、どうか安心してほしい。」
その言葉に私は安堵し、彼に微笑み返した。
「ありがとうございます、主殿。私も皆のために精一杯頑張ります。それと私のことはラファエル、言い難ければラフと呼んでは頂けないだろうか?それと私の胸はどうだっただろうか?変な形じゃなかっただろうか?」
「は、はい。とてもきれいで、つい触りたくなりそうで、ってごめんなさい!」
「フフフ。主殿は正直なのですね。ところで何故私を見てくれないのでしょうか?」
「あ、あの、その、む、胸が、その、服の下・・・」
主殿が指を指したのもあり、私は胸元を見た。
思わず手で胸を隠し、真っ赤になってしまった。
先程ちらりと私の体を見ると顔を逸らしてくれていたのだが、なんとシャツ1枚のため、先端の形がはっきり出ていたのだ。
黙って見ることも出来ただろうし、年相応に女人の体に興味があるようではあるが、紳士に振る舞っている。慌てて外套をかけてくれた。そうやって体を隠すとようやく顔を見てくれた。
その後、バン殿と私は部屋割りのことや、これからの旅について話し合い、互いに信頼を深めていった。この出来事がきっかけで、私たちの絆は強くなったように感じられた。
聞けなかったが、ミンディー殿とメリッサ殿との関係はどうなのだろうか?2人は好いているようだが?私が入りこめる余地があるのだろうか?
風呂上がりに皆で食事となったが、困った・・・バン殿が私の隣だ・・・恥ずかしくて顔が見れないからちょうどよいのか?
私の正面にはメリッサ殿、ミンディー殿、アイシア殿だ。
しかし、これは凄い・・・ものすごい量の食事だ。
とてもではないが5人分ではなく、8人分ほどに見える。
シチューが美味しいところだが、ステーキまで。
しかもミノタウロスのステーキだな。
高いはずなのだが・・・
【ラファエル視点終わり】
皆が風呂を上がるとそのまま食事にした。
よくある食堂を併設している宿なので、僕が宿の食事で良いよね?と確認すると皆頷く。
ラファエルさんの顔を見れない。
男の格好をやめたようで、今はどう見ても女の人だ。
さっき見た裸の姿、特に胸が頭から離れない。
綺麗だったな・・・・って駄目だ!これから仲間としてやっていく人をそんな目で見ては。
取り敢えずガッツリ頼もう・・・
キタキタ!ミノタウロスのステーキ!これガッツリ肉になるんだよね!宿の人に聞いたらシチューがここのイチオシだって言うから、もちろん頼んだよ!
「料理も来たので、取り敢えず食べながら自己紹介を!ってどうかな?」
「それは良いのだが、まだ仲間が来るのだろうか?」
「えっ?ほら1人探すって言ったけど、流石にサニタルに着くのは明日だから今はいないよ」
ラファエルさんがおかしなことを聞いてきた。
「いや、その、8人分ほどあると思うのだが・・・」
「うん。皆たくさん食べて、体重を増やしてね。取り敢えずいただきま〜す!」
「ちょっと待って欲しい。どちらかと言うと減らしたいのだが・・・」
「うん。後で減らすから大丈夫だよ」
「体重なんてすぐに減らないわよ!アタシも減らしたいくらいなのよ!」
アイシアさんのひと言にメリッサが何か言いかけたけど、ミンディーが悪い笑みを浮かべて止めたぞ?あれ?あっ!ひょっとして2人には僕のこと伝えてないのか!
「じゃあ、その辺の話も含め、僕のことから話すよ・・・」
そこから取り敢えずステータス操作ではなく、体重操作が可能と教え、2人から1kg減らした。
もちろん僕にステータスを見られることと、僕のステータスはギフトの詳細を伝えるのと等しいので、結果によらず最終日に明かすと断った。
ただ、今の段階でメリッサとミンディーのステータスは伝えても問題なさそうなので、2人の意向を聞いたうえで伝えた。
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