第13話 ダンジョンの下見
翌日早目に宿を出てダンジョンに向かった。、町の北西に行ったところに目的のダンジョンがある。
入口近くにポーション類、回復薬、食料等を馬車の荷台を店代わりにして販売する商魂逞しい人が呼び込みをしていたな。
このダンジョンは町から歩いて20分程掛かるので、多少高くても買う人は買うのかな。
ただ、人はまばらにしかいない。
数日後には主の討伐報酬が倍増するので、今は下見に来るパーティーがチラホラといる感じかな。
これから人が押し寄せるので、売り子が現れ始めたんだろうな。
アイシアさんからあのダンジョンはほとんど誰も寄り付かず、時折チャレンジするパーティーがいるくらいになってしまい、市場とかはないから必要な物は予め買っていくように言われていたから驚いた。
正直、古いダンジョンに入っていてもそこそこ稼げる。昨日半日入ったけど23000gも稼いだんだ。パーティーだと辛い額だけど、低層階でも僕1人なら十分な稼ぎなんだ。
出来てから1年経過していないダンジョンに出る魔物は大したことはなく、広さの割に魔物が少ない。
それによりエンカウント率が低く、稼ぐことができないので好きこのんて入りたがる人はいない。
ただし、出来たては別。
初期調査は依頼された冒険者が探索し、レアアイテムは領主に渡す必要がある。
これをどれだけ真面目にするか、精度を上げるかにもよるが、出来たてでもダンジョン内には宝箱が数個あり、初回開封はレアアイテムが入っている事が多く、必ず全てを回収出来る訳ではない。
もちろん調査したパーティーに追加報酬が出る。
なので調査漏れや見過ごしを期待してしばらくはトレジャーハントのために賑わう。
また、厄介なことに発生から半年は主がいないのだ。
少なくともこの数百年、発生から半年以内のダンジョンで主が討伐された記録はない。
ここ北西ダンジョンが厄介なのは、主が逃げるからだ。
アイシアさんに聞いたんだけど、戦いの途中で不利となったり、自分より強い者が来ると文字通り尻尾を巻いて逃げるんだとか。
更に見付けにくい。
いやらしい性質で、パーティーの最後尾を後ろから奇襲攻撃し、クネクネした通路を逃げ出す。追い掛けるも見えなくなったと思ったら気配すら感じなくなるのだとか。
急所を狙ってくるようで、運悪く気が付かなかった数人の犠牲者がいるそうだ。
ランク3のパーティーが行方不明なのは、このダンジョンで全滅したからだとの噂を耳にした。
クネクネとした洞窟型のダンジョンなんだけど、約2時間で4階層にまで来てしまった。
地図は見るまでもなく、ほぼ1本道を進む。
細い脇道は多々あるけど、メインの道を進めば階段に着くと言われ、最下層の様子を見に行ったんだ。
ここは5階層までで、主は徘徊型らしい。
途中、一組のパーティーしか見なかったうえに、ここに来るまでにジャイアントラットを2体倒しただけだ。
そもそも主は中々姿を表さないらしいけど、強さよりその発見しにくいことに問題があるよなぁと僕は思いながら、ダンジョンのあちこちを見て回る。
僕は焦っていた。
魔物も殆ど出ず戻り時に何組かのパーティーを見たけど、数日後のお祭りに備え(1年経過したダンジョンの周りで馬鹿騒ぎが起こるからそう言われている)、下見に来ている者ばかりだった。
5階層の階段の所まで来て、初日は引き上げた。
理由は単純で、お昼時間になったらギルドに戻る話にしていたんだ。
受付カウンターが一番空いている時間帯だからなんだ。
帰路もイモ虫の巨大バージョンといったグリーンワームが現れただけだった。
正面に向き合うと糸を吐き、敵を絡め取るのだけど、武器屋のおっちゃんからアドバイスされたことが役に立った。
金貨1枚払えば半日で身に付く生活魔法の【ファイヤ】。これに魔力を流し続ければ剣に炎を纏わすことが可能。付与魔法とほぼ同等の威力になる。ただし難点がある。
付与魔法だと魔力消費量は5で大体2分持つ。
しかし、生活魔法の転用は効率が悪く、持続時間は1の魔力で1秒程しかない。
魔力の使い道が少ない僕にとって、有難い内容だった。
ただ、このグリーンワームの糸を簡単に焼き切れ、実践でかなり役に立つと知っていたらステータスの割り振りをもう少し魔力に振ったのにと思ったんだ。
おっちゃんの話を、ふーん程度で聞いていたんだ。
おっちゃん、ごめんなさい。次はお兄さんと呼ぶよ!
因みに【ファイヤ】【ウォーター】この2つはダンジョン探索に必須なので取得している。
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