第12話 体重操作

 僕は次にギルドに向かった。

 まだ早い時間の為、つまり空いている時間帯なのも有り、掃除をしているアイシアさんを見付けた。


「バン君おかえりなさい。早かったのね」


「アイシアさん、相談したいことがあるんです。時間良いですか?」  


「めずらしいわね。その様子だと個室の方が良さそうね」

 

 込み入った話をする相談用の部屋に入ると、僕はアイシアさんの目を見つめながら静かに話し始めた。


「アイシアさん、ちょっと相談があります。前にちらっと話したギフトのことです。僕が得た能力を使えば触れた人の体重を任意の量減らすことができるんです。このギフトには他にもいくつかの能力はありますが、今はこれだけはお話しできます。」


 アイシアさんは驚いた表情を隠せずにいたけど、興味を持ったようだ。


「それはすごいわね。でも、どうしてそんなことを今私に話すの?前にもギフトのことは簡単に口にしないように言ったわよね」


 僕は深呼吸をして、自分の目的を打ち明けることにした。


「実は、北西のダンジョンが6日後に発生から1年を迎え、主討伐の報酬が200万から400万に上るんです。お金が必要になりどうしても攻略したいんです」


 アイシアさんは心配そうに首を横に振る。


「バン君、それは無理よ。あなたのランクでは危険よ!死ぬわよ!」


 このままだととてもではないが協力を得られないと覚悟を決め、ステータス操作の能力について詳しく説明する決断をした。


「分かりました、アイシアさん。でも、僕にはもう選択肢がないんです。僕のギフトはステータス操作(体重)です。この能力を使って、ギルドの女性たちの体重を減らし、その見返りとしてポイントを得ようと思っていて、アイシアさんの助けと言うか協力を得たいんです。そして、得たポイントを能力に変えることができるので、それで強くなれるのも有り、ダンジョンに挑むんです。それと体重を減らしたい人からお金を頂き、足らない分を確保しようという計画です・・・」


 僕がステータス操作の詳しい説明をしていくと、アイシアさんは少し考え、やがて決心したように頷いた。


「分かったわ。バン君。私も協力するわ。でも、約束してね。決して無茶はしないと。君のギフトなら何とかなるかもだけど、先ずは私でその能力を試してみて!最近食べすぎて少し体重を落としたいなと思っていたの。大丈夫そうならギルドの女の子に声を掛けるわ。他の計画は?」


「ありがとうございます。アイシアさんのおかげで希望が見えました。約束します、無茶はしません」


 先程おっちゃんにやったようにアイシアさんの小さく柔らかな手を握る。

 女の人の手を握るなんて初めてでドキドキしたけど、アイシアさん本人の希望通り、500g減らしたところ、お腹周りがスッキリしたと実感出来たようなんだ。

 あの細い体のどこに余分な肉があったのか分からないけど。


 男女の差は無いようで、アイシアさんのポイントは50増え、僕には10ポイント入ってきた。


 ギルドのお姉さんたちに対し体重操作の話をし、今回は宣伝と言うことで無料で行い、ギルド職員は今後は体重1kgにつき2万gを対価とするとこにした。


 また、一般人、恐らく貴族などの富裕層となるけど、1kgにつき5万gでと話を煮詰めていった。

 流石、適正なアドバイスをくれるので、価格決めなんかは助かったんだ。

 ただ、アイシアさん以外には、僕のギフトは体重を減らすことのみだと伝えることにした。


「ところでバン君、君、何故急に必死になってお金を得ようとするの?」 


 僕は奴隷商での話をしたけど笑われた。

 えっ?と思うと、フォローしてくれた。


「笑ってごめんね。君らしいなって。どこかで変な女に引っ掛かったのかなって思ったんだよ。安心したわ。でも・・・本当、お人好しよね」


「反対・・・しないんですか?」


「君ねぇ。私、これでも1年以上君の事を見ているんだぞ!反対しても絶対引き下がらないでしょ。反対してこっそりやられるより、ちゃんとアドバイスをして、君がやり遂げる手助けをしたいの。条件はお姉さんには隠し事をしない!でもその子が羨ましいな」


「あっ!アイシアさんからは、も、もちろんお金をもらわないですよ!」  


 アイシアさんは、アハハハと乾いた笑いをしていたな。

 そうだよね、女の人が体重を気にするのは当たり前だよね!


 そうそう、ポイントが1000を超えた時に分かったんだけど、1000ポイントと引き換えにスキルを得られる。能力底上げとスキルの取得だと能力底上げのほうが良いような気がするけど、スキルは等級があれば低い方から順に取らないといけないんだ。

 取り敢えず、ポイントはスキルを1つ取る分はいざというときの為に残そうかなと思う。


 そのまま相談室でポイントの配分をすることにした。


 触る前のステータス

 名前 バンスロット

 身長 168cm

 体重 64.7kg

 職業 冒険者

 レベル 4

 ランク 8

 力   100

 体力 102

 知力 63

 魔力. 93

 敏捷. 121

 スキル 

 見切り


 ギフト

 ステータス操作(体重)

 ポイント 2060(1810[+250])

  

 ポイント割り振り後

 名前 バンスロット

 身長 168cm

 体重 64.7kg

 職業 冒険者

 レベル 4

 ランク 8

 力   430 (100[+330])

 体力 432 (102[+330])

 知力 163 (63[+100])

 魔力 193 (93[+100])

 敏捷 521 (121[+400])

 スキル 

 見切り


 ギフト

 ステータス操作(体重)

 ポイント 1000(2060[-1060])

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