第21話

それからまた3日後の10月8日頃であった。


理恵りえは、ケーサツの取り調べに対して『公章きみあきがうざいから殺した…』と供述した。


愛媛県警けんけいは、理恵りえを一両日中に松山地検ちけんへ送検すると発表した。


理恵りえは、数日以内に裁判所に起訴されるはこびとなった。


それと同時に、私の人生が大きく狂った。


お世話になった山尾やまおの家がテイトウに入った…


明がくも膜下出血で倒れた…


そのまた上に研二けんじが交通事故で亡くなった…


研二けんじが職場の会計ちょうぼに大穴をあけたことが分かった…


またその上に、雅俊まさとしが東予町(西条市)の海岸沿いにあるラブホで殺人事件を起こして逮捕された。


雅俊まさとしは、室内にいた愛人おんなと男を刃渡りのするどいナイフで刺し殺した。


雅俊まさとしに殺された男は、こともあろうに賢也けんやだった。


その上に、ゆかりがシキュウケイツイガンにリカンした…


宏美ひろみは、ゆかりを看病するためにつとめをやめることを決めた。


これにともない、私はまた施設に帰ることが決まった。


時は、同日の正午過ぎであった。


私は、学校の先生から『早く家に帰りなさい…』と言われたのですぐに帰宅した。


私が帰宅した時であった。


山尾やまおの家の広間にみちよとルミ子と陽子とゆいとゆかりと宏美ひろみがいた。


宏美ひろみは、小4の私に対してつらい表情で施設に帰るようにと言うた。


私は、おどろいた声で言うた。


「施設に帰れ…どうして?」

「山尾の家が売却されたのよ…それと、おねーちゃんがシキュウケイツイガンと診断されたのよ。」

「シキュウケイツイガン?」

「初期の症状だけど、一刻も早く治療に入るようにと医者に言われたのよ。」


私は、居直った声で言うた。


「分かった…施設に帰るよ…ここには、ぼくの居場所なんかないのだ!!」


このあと、私はワーッと泣き叫びながら家の外へ出た。


ところ変わって、本町角の大洋デパートの向かいにある四国電業デンギョーのレコード屋にて…


家からかけてきた私は、その場に座り込んだあとぐすんかと泣き出した。


店の前に設置されているスピーカーから黛ジュンさんの歌で『雲にのりたい』が流れていた。


「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」


私は、泣くだけ泣いたが心は晴れなかった…


それから数日後に私は施設に送還された。


山尾・都倉とくらの二つの家とはそれきりになった。


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