第124話 ヘソ、爆乳、デカモモ+田中ァ
俺が朝食を食べていると、急に美少女三人衆+田中が家のリビングに集まった。
まだ時刻は8時20分。
瑠衣が言うには集合時間は9時のはずだが……はぁ、こいつらと来たらそそっかしいというか何というか。
「諒太のソーセージもーらいっ!」
「あっ」
俺がボーッとしていたら、愛莉におかずのソーセージを掻っ攫われる。
「むふぅ〜、おいしー」
(お、俺のソーセージをそんな一口で……)
ソーセージを咥える愛莉を見ていると、邪な妄想ばかり湧いて来る。
「こら愛莉。お行儀悪いし」
「優里亜も食べるー? もう一本あるよ?」
「いやあたしは要らないから。諒太の朝ごはんなくなっちゃうっしょ?」
優里亜は呆れ顔で言いながら俺の朝メシに目を向ける。
「てかこれ、瑠衣が作ったの? あと何なのそのエプロン」
「可愛いでしょこのエプロン? 今日は諒太くんのお母さんがセパタクローらしくて、泉谷家の朝ごはんはわたしが作ったの」
「マジ? 瑠衣、どんだけ諒太の家族と仲良くなってんの」
「えー? 友達なんだから普通だと思うけど?」
普通なら友達の家の朝メシを作ることなんてないだろ。
「そんなことよりも諒太! 早く食べてプール行こーよー!」
「わ、わかったわかった」
愛莉に急かされて朝メシをかきこんだ俺は、プールへ行く準備をしようと思った……のだが。
「ちょっと待って諒太くん」
「ん?」
「諒太くんの水着とバスタオルは、このバッグに詰めておいたから。はいっ」
瑠衣はどこからかバッグを取り出すと、俺に手渡す。
どうやら瑠衣が前もって準備してくれていたらしい。
(瑠衣は気が利きすぎて怖い……というか、そもそも俺は陰キャだから、授業用以外の水着なんて持ってないはずなのだが……)
そう思ってバッグの中を見てみると、中には洒落た柄のステテコみたいな水着が入っていた。
「どうせ諒太くんのことだから、水着なんて持ってないと思って買ったの。水着の代金はさっきの"アレ"のお金と相殺しておくね?」
こ、こいつ……想像の何倍も"デキ"る女だ。
あー、ダメだ。このままだと瑠衣依存症になる。
「ふふっ……」
瑠衣はしてやったりと言った風に、俺の方に微笑みかけた。
☆☆
準備も整い、俺たちはプールへ向かうことに。
家を出たらなぜか瑠衣が俺の家の戸締りをしているが、もう気にするのも時間の無駄だと思ったので、そのままプールへと歩き出す。
「で、そもそも俺たちはどこのプールに行くんだ?」
「隣町の大型レジャープール!」
「はぁ……? あそこ高いだろ。市民プールで良くないか?」
「諒太マジで言ってんの? ウォータースライダーないなんてつまんないじゃん」
「そうだそうだ! 愛莉ね、諒太とウォータースライダー滑りたいもん!」
「俺が、愛莉と……ウォータースライダー」
ご、合法的に愛莉のあの爆乳を生で背中に押し当てられるなんて……何という僥倖(計画的犯行)。
俺は一昨日味わったばかりの愛莉の爆乳が自分の背中に当たるのを想像して愉悦に浸る。
「よし、レジャープールでウォータースライダーの一択だな」
俺がそう言った刹那、両腕を優里亜と瑠衣が思いっきりつねって来る。
「諒太、下心丸見え」
「諒太くんはわたしと乗りましょうね? 胸のないわたしと」
くっ……こいつら……俺の思考を完全に把握しやがって……。
そもそもプールなんて陽キャの溜まり場に、俺みたいな陰キャが行ったところでやることなんて、瑠衣のヘソガン見か愛莉の爆乳ガン見か優里亜のデカモモガン見くらいしかないだろうに。
結局俺たちは隣町の大型レジャープールへ行くことになり、まずは駅まで向かう。
(それはそれとして……)
美少女三人衆が俺の前を歩きながら大型レジャープールへの行き方を話し始めたので、その間に俺は背後を振り返る。
「おい、さっきからすっかり空気になってる田中、ちょっといいか?」
「く、空気ってなんですか! ちゃんと居ますよ! 皆さんの背後に!」
「なんでさっきから黙り決め込んでるんだよ。お前らしくない」
「だ、だって……わたしみたいな女陰キャは、1週間以上会って話してない相手とは、気まずくなる習性にあるというか」
い、陰キャが極まり過ぎてるだろ……俺でもそこまでではないぞ。
まぁ、田中がこうなるのはある程度分かってたし、少しは俺がフォロー入れてあげないとな。
「今日のお前、ちょっとおめかししてるよな? 白いワンピースとか、中学の時は全く着てなかったのに」
「う、うるさいです! いくら陰キャのわたしでも、私服ジャージの時代は終わったので!」
そう……中学時代の田中は、俺の家に遊びに来る時はいつも、ヤンク●が着てそうなジャージを着ていた。
見た目も若干ヤン●ミ似なので、もはやヤ●クミでしかなかったのだが……お前ら笑うな!
ちなみに俺も中学まで私服は基本ジャージだったから気にはならなかった。
「わたしも……さすがに私服ジャージはダサいって意識して、努力したんです。そりゃ、前を歩くお三方みたいに、服のセンスはないですし、身体つきも、飛び抜けたものはないですけど……」
田中は3人の方をチラッと見て、自分の平らな胸に手を当てる。
今日の田中はやけにナーバス気味だった。
やっぱり同性の視点だと、あの3人と一緒にいたらそういう気持ちになるものなのだろうか。
「そんなの気にするなよ田中。いつもお前は『ロリコンとメガネっ子ハスハス教には間違いなく需要がある』って、自分で言ってるじゃないか」
「い、言ってないですよそんなこと! そんなの考えてないですから! ていうか、なんですかメガネっ子ハスハス教って!」
俺が冗談半分で言うと、案の定田中はキレ散らかす。
「よしよし。それでこそいつもの田中だ」
「……う、うるさいです! そもそもわたしは諒太くんが褒めてくれるだけで……それだけで、いいですから」
「俺? ああ。まぁ、確かにな」
「えっ……?」
「俺ほどの陰キャになれば、美少女を見る目が肥えてるからな。俺に褒められれば他の男も間違いなくイチコロだ」
「……はぁ」
なぜか大きなため息を吐く田中。
「な、なんだよそのため息は!」
「はいはいそーですねー、童貞の諒太くん」
「お、お前だって恋愛経験とかないくせに!」
「わたしは……どうでしょうねー? 少なくとも諒太くんより恋はしたことありますけどー」
「え……ただのBL好きじゃなかったのかよ! おい、詳しく!」
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