第35話 勘違いでイチャイチャMAX
予告が終わるとついに映画の本編へ。
「いよいよだね諒太っ」
「あ、ああ」
爆乳バトルアニメの『乳きゅん』が劇場版ではどうなるのか正直なところ俺も楽しみである。
一応原作にもある話らしいが、俺はあえて読んでこなかったので完全初見なのだ。
(楽しみだが、いくらエロくても下半身が反応しないようにせねばなるまい)
そう思って俺が身構えた途端、始まって早々に色々と激エロなシーンが流れ始める。
『くっ……私を縛り上げてどうするつもり!?』
『ふふっ。そんなの、その爆乳からエネルギーを搾り取るしかなかろう!』
『んん……っ! あっ、や、やめっ!』
本作の人気キャラでB110誇る爆乳美少女の麻布ミルクが、戦いの中で敵の女幹部により柱に縛り上げられ、拷問とばかりに胸を揉みしだかれている。
(み、ミルクのお、おっぺぇがすっげえな!)
そして女幹部を撃退すべく、ミルクの武器である
(これを4Dで上映するのはある意味下品だが……悪くない)
その後もミルクのミルクがスプラッシュするたびに顔に水飛沫がかかり、キャラたちの汗が飛び散るたびに水飛沫がかかり、さらに別の部分からも色々な"アレ"がスプラッシュするたびに水飛沫が……っておい、待て。なんか水飛沫ばっかだなこの4D。
最初から最後まで喘ぎ声ばかり聞こえる上に、エロシーンしかないという、とにかくスゴイエロイ映画だった。
☆☆
映画が終わると、謎の余韻があった。
中身はエロだけだと思いきや、圧巻のストーリーで、ヒロインたちが爆乳でバトルをする理由やそれぞれが爆乳になった理由など、深いストーリー性もありただ乳繰り合っているだけじゃないのだと思い知らされる。
また、あれだけ色んなキャラの爆乳を見せられていると脳がバグってしまい、隣に座ってる市之瀬はなぜ服を着ているのだろう……と考えてしまうほどにイカれていた。
「いやー、もうほんと最高だった! あんなにえちちなミルクたんが爆乳になった理由とか、母乳が武器になるまでのすっごい伏線回収あってマジ泣けるっ!」
「お、おう……」
市之瀬はすぐに立ち上がって帰り支度をしていたが、俺は立ち上がることができない。
「ん? どしたの諒太? なんでさっきからちょっと前屈みなん?」
「あ、えっと……4Dがあまりにも衝撃的すぎて腰を抜かしたというか」
とんでもないほど勃●した、などと素直に言えるはずもなく。
(このまま市之瀬に俺の『そりたつ壁』を見せるわけにはいかない。もし見られたらSAS●KEではなくただのSUKEBEになっちまう)
「俺、少しトイレ行って来てもいいかな?」
「おけおけー。じゃあアタシこのままここで待ってるから」
俺は上手いこと誤魔化して、トイレに直行する。
(情けねえ……エロアニメでこんなになっちまうなんてよ)
興奮が収まるまで待ち、俺は平常心になってから戻って来る。
(ん? あれ、市之瀬……っ)
俺がトイレから戻って来ると、市之瀬の周りにオタク2人がいて、何やら話している。
ま、まさか……ナンパか?
ヤ、ヤバいヤバい!
こんな所で一人にさせちゃダメだった。
そりゃ市之瀬くらい可愛いくて(エロい太ももの)ギャルが一人でいたら、オタクたちはカブトムシみたいに飛びつくに決まってる。
だが、このまま何もしなかったら、俺が死ぬほど嫌いな胸くそNTR展開に……そ、それだけは阻止せねば。
こんなコテコテのラブコメ漫画みたいな展開……彼氏ヅラして割り込んで助けるしか方法ないだろ。
(あー、つべこべ言わずに行くしかねえ! こんなオタク陰キャでも男として、市之瀬を助けないと!)
俺は意を決してオタク二人に囲まれていた市之瀬を助けに行く。
「あ、諒太っ! これ」
「こ、こいつ! 俺の連れ、なんで!」
俺はオタクと市之瀬の間に割って入って言い放つ。
「ふふ、さようですか。可愛いらしい彼女がいて良いですね」
「それではお邪魔をしてはいけないので、我々はクールに去るでござる」
「え、あ、はい」
揉めると思っていたが、意外にもあっさりと解決し、オタク二人は館内から出て行った。
って、それより市之瀬を。
「だ、大丈夫か市之瀬!? 太もも、舐められたりしてないか?」
「んなことするわけないでしょ! はぁ、なんか勘違いさせちゃったみたいでごめん諒太」
「か、勘違い?」
「あの人たちとは入場特典の交換をしてて。あのオタクの人、赤髪ヒロインのリョウコたんの萌えT着てるのに、ミルクたんの色紙を持ってたから、交換できないかあたしから声かけたの」
市之瀬は交換したと思われる麻布ミルクの入場特典の色紙を俺に見せながら言う。
「え、あ……そ、そうなんだー」
圧倒的な勘違い。
おい、恥ずかしくて死にそうなんだが。
「諒太ったらあたしのこと『俺の連れ』とか言ってなかった?」
「わ、忘れてくれ市之瀬! 俺はてっきり市之瀬がオタクたちに太ももをベロベロ舐められているのかと」
「マジであんたの太ももに対する執着なんなん!? ま、いいよ。あたしのこと守ってくれようとしたんでしょ?」
「それは、まあ……」
「嘘でもあたしのこと"連れ"って言うなら、この後もちゃんとエスコートしてよ?」
市之瀬はそう言って、ネイルで俺の鼻頭をツンと弾いた。
あ、ヤバい……またトイレ行く必要あるかもしれない。
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