No title

一ニ三

プロローグ

 私の名前は【西宮愛夢】

 愛と夢であむと読む。


 この素晴らしい名前とは裏腹にこの世の中には私のことを好いてくれる人間よりも嫌う人間の方が多い。


 私自身も私のことが嫌いだし、この世から自身の存在を消せる魔法のボタンがあれば、まず間違いなく押すであろう。


 生きる理由なんて何もなく、人生は罰ゲームのようで惰性で息をする。


 普通の人の人生を一冊の本に例えるのなら、その本はきっと厚く重くその人の生き方が色彩となり、形取られ、生きてきたうえで遺したものが、その本のタイトルになるのだと思う。


 そしてきっと今日までの私の人生を形取る本は無色で題名すらない。

 「No title」と書かれた物語。


 そんな無価値な本が

紅炎、深緑、濡羽、白銀、金糸雀、群青、黒銀で色付く。


 これは私に色をくれたその人たちとの、終までの物語を捲るお話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る