第1話 出逢い
西宮愛夢は朝、生徒の中で誰よりも早く学校に着き自分の席に着く。その行為は彼女が十八年の人生の中で学んで日課にしたもの。
ただの普通の都立の高校。寮があるからという理由だけで選んだこの場所で異質である自分が他の普通の生徒たちに、迷惑をなるべくかけない唯一の方法だった。
愛夢の人生は一言で言うと親ガチャ失敗。
愛夢の母親は若くして彼女を産みネグレクトの果てに殺害ギリギリまでの暴力をふるっていた。その為、傷害の罪により現在も服役中。父親に至っては薬物中毒の末に売人を殺害し、さらに奪った薬物の過剰摂取によって自らも死亡している。
どちらも愛夢が三歳の頃の出来事であった。
そんな両親から産まれた人間が普通の高校生活の中に馴染める訳も、受け入れてもらえる訳なく、愛夢はなるべく彼等の視界に入ってしまわぬよう、自分の話題で彼等の楽しい日常の会話を少しでも途切れさせぬように努めることしか出来なかった。
負け組の人生。
その凄惨な事件の後、血の繋がりのない遠縁の女性に引き取られた愛夢の後の人生は酷烈なものであった。
どこにいても、どんなに良いことをしていても噂の的は自分で、謗り、誹謗中傷、イジメ、暴力等大抵のことはこの身で経験してきた。またそれらの行為は今日までも続いている。
卒業まではあと半年。この泥沼の中で口だけを出して呼吸させられている様な人生はきっとこの先も続いていくのだろうと毎日、諦めに近い思いで愛夢は過ごしていた。
ふと、窓の外を見る。
十月の秋空は高く何処までも広い。
来客用の駐車場に一台の車が停まるのが見えた。言い争う二人の男性が車から降りて慌ただしく学校内に入っていくのが見える。
愛夢はそれを「忙しないなぁ、あと半年後には自分もあんな風な社会人の仲間入りかぁ」と思いながらぼんやりと眺める。
顔を隠す為に伸ばした長い髪が肩を滑る。
なるべく音を立てぬよう、存在を気取られぬように姿勢を直して椅子に座り直した。
愛夢にとっての唯一の救いは、引き取ってくれた女性が大変素晴らしい人物であったことであった。
保育士である養母は、彼女の凄惨で苛烈な境遇が耐えられなかった。抱きしめて慈しみその傷を悲しみ嘆き、自身の人生を投げ打って養母になることを決意してくれた。
そして今日まで身を削るようにして愛夢を大切に育ててきてくれたのである。
養母のことを尊敬している。
しかしそれ以上にどうしようもない申し訳なさも感じている。
母だなんて呼べるはずもなかった。
あの人の若く美しく、誰か大切な人と過ごすはずだった時間を全て自分が台無しにしてしまった。
自分に使ってくれた時間は返せなくても、せめてお金だけは・・・と愛夢は高校に入ってからバイトを始めた。
学校が許可をくれたものしか出来ない為に金額は微微たるものだけど、必ず自分の為に使ってくれたものを、与えてくれた以上に返そう。
そう決意しニ年半の青春はその為に使った。後の半年もいらない、どうせ友達もいない、と当たり前だと思っていることを心で反芻した。
仕事はまだ何も決まってはいないが、卒業したら働いて、働いて、この身が崩れて動けなくなっても働いてやる、そう決めている。
それが自分に出来ることで最善の命の使い方だと信じて。
高校生になってからは必要最低限でしか養母と会っていなかった。そしてこれからはもう二度と会わないであった。
“マリア先生。私の大好きな養母。もう自分の時間を生きてほしい。ごめんなさい生まれてきてしまって。本当になんて薄情なヤツだろう。私は私が、西宮愛夢が大嫌い。返すものを返してさっさと誰の迷惑にもならないように死んでしまえ“
愛夢はこんな自己嫌悪を毎日繰り返している。
グッと下唇を噛む。痛みで誤魔化さないと涙が出そうになるからだ。
"泣いたらダメだ・・・"
愛夢は拳を強く握る。涙を流すと周囲から、かまってちゃん、メンヘラ、とまた言われるのは分かっているからだ。
「マジでヤバくねー!!」
大きな声でハッと我に返る。今は高校三年の大切な時期の為、クラス内は常にヒリついている。つい先ほどまでは受験に追われている生徒達の自主学習の時間で教室は静寂に包まれていたはずだった。
目線だけを声のする方へ向ける。
声の主は愛夢のクラスメイトの向井邦彦(むかいくにひこ)だった。今時らしい髪型に、着崩した制服、気の強そうな勝ち気な吊り目の男子生徒だ。
彼は既に大学への推薦が決定している為に、受験勉強そっちのけで遊び呆けているいわゆる問題児である。他の生徒を高みの見物といったような感じで茶化しているのを何度か見かけたことがあった。
まぁ自分も卒業後はフリーターのような生活をするつもりなので、受験勉強どこ吹く風という顔でそれを眺めていたのだが。
本来、この時期は合否発表すらされていないが、両親が議員らしい彼は約束された合格が待っていると叫んで、周りの生徒を煽ってきていた。
「俺は大学推薦決まってるから無理だって断ってるだけどさぁ!向こうがどーしてもって言ってくるからさ!」
声が大きい、煩い、クラスの全員が思っているだろう。勿論、愛夢もそう思っていた。これはわざとでみんなに聞いて欲しがっている向井のただの自慢話だ。
聞きたくないのに聞こえてくる。静かにしてほしい。
そう思い、図書室から借りてきた本を手に取り意識を集中する。頭の中に無理矢理入ってくる雑音が知識の吸収を邪魔してくる。
向井曰く、今日これから全国の中から選ばれた、ある特別な生徒を凄いヤバい企業が勧誘にくるらしい。どうでもいい、いらない知識を手に入れてしまった。これが有名大学に推薦が決まっている生徒の語彙力だとは嘆かわしい。と本のページを指で撫でる。これ以上の、知識の吸収は諦めよう。
親ガチャSSR。スマホを持っていない愛夢にはよくそれの意味が分からないが彼は自分をそう言っていた。ただそれだけで努力もせずに有名大学への推薦も企業からの勧誘も手に入れられるのだから羨ましいものだ思った。
愛夢には逆立ちしても手に入れられない。
出る杭は打たれる。自分なんぞ少しテストの点数が他より良かっただけで、足が陸上部より早かっただけで机にゴミを入れられ、靴を隠されるのに。
頑張らない、目立たない、努力したら自分は皆んなが届かない様な場所にだって手が届くなんて思ってはいけない。
「向井邦彦君、応接室に来てください」
大声の雑談にかき消され気味だったが、担任の声が一瞬の静寂を呼ぶ。『キター!向井君やべー!大学生と企業戦士でダブル役満じゃーん!』と向井コールが始まった。煩い!五月蝿い!先生、早く皆んなを静かにさせてください!そう愛夢は心の中で強く思った。
「西宮愛夢さんも応接室に来てください」
後に続いた担任の言葉で教室内は水を打ったように静かになった。時間が止まったようにしーんという音が聞こえそうだった。願い通りの静寂だがこちらに注がれるクラスメイト達のじっとりとした視線がうるさい。
「はい・・・」
出来るだけ小さく、目立たぬようでも聞こえる声で返事をする。上手く出来たか自信はない。口の中が酷く乾いて声が掠れている。全身の毛穴から汗が吹き出しそうだ。向井の大きな舌打ちが教室に響くのを皮切りに、囁き声が止まない。
これだけ注目を集めてしまったらもう何の意味も無いが、愛夢は出来るだけ静かに席を立つ。
何で西宮さんも?
“知らない!“
ついに退学なんじゃない?
“違う!“
噂だけど、パパ活してるらしいよ!
“普通のバイトだ!“
本当にやめてほしい。
このタイミングで自分を呼び出した担任を恨むことしか出来ない。泥沼の中にいるように足取りは重いし、歩くたびにクラスメイトの囁き声が身体にまとわりつくようだった。
足早に応接室に向かう向井に反して、愛夢の足取りは重い。二年半履き潰した上履きと廊下を見ながら歩く様は、まるで断頭台に連れて行かれる囚人のようだった。
応接室1
着いてしまったので覚悟を決めてノックをするが返事がない。「失礼します」と引き戸を開ける。
応接室の中には向井の姿しかなく、ソファに足を大きく広げ座っていた。
カースト上位の自分がカースト底辺の愛夢と一緒に呼び出されたのが不満なのか、はたまた呼び出し相手がまだ来ていないからなのか彼は明らかに不機嫌であった。ギロリと睨まれ愛夢は、急いで目を逸らし扉を閉めた。
「お前は何で呼び出されたんだよ?」あからさまな怒りのこもった声で問われる。
「すみません、分かりません・・・」とお辞儀をして謝る。学校で愛夢に許されている発言は"すみません、ごめんなさい、はい、いいえ、分かりました、分かりません"そして沈黙のみで、これらで今までの学校生活を過ごしてきた。
自分で聞いておいてもう興味を無くしたのか、向井は舌打ちをしてそっぽを向く。ソファに愛夢の座る場所は無い。来客用の席に座るなど出来るわけも無いので、仕方なく応接室の隅で立って待つ。
こんな罰ゲームのような時間は一刻も早く終わってしまえ、とそんな事を考えながら床を見つめる。コンコンと、部屋に優しく響くノックの音で我に帰る。
「失礼します。遅くなり申し訳ありません」
扉が開き二人の男性が中に入ってくる。愛夢が先程窓から見ていた二人だ。
赤髪の無造作な長髪で顎髭を生やした少し怖そうな男性と、黒髪に眼鏡の優しそうな男性だった。
どちらも黒のスーツ姿で二十代後半といったところだろうか。
「あれ?二人いらっしゃいますね」
黒髪の男性が向井と愛夢を交互に見る。
「一応聞くけど、どっちが西宮愛夢?」
そう言いニヤつきながら赤髪の男性が近付いてくる。
「西宮は私です」
戸惑いながら愛夢がそう答えると「だよな」とくるりと向井の方に体を向ける。
「先輩が来るまで立って待っているとは偉いねー」彼はそう言いながら黒の合皮のソファに、脚を組んでわざと大きな音を立てて座る。
明らかに角が立つように向井を挑発しているのがわかった。案の定、彼は乗る。
「人を呼び出しといて遅れてくるってナメてんのか?そんな態度でいいと思ってんの?」
今にも掴みかかりそうな勢いで捲し立てる向井に対し、赤髪の男性は「別にお前を呼び出してないんだけど」と冷静に対応する。
その言葉によって怒号はさらにヒートアップし、愛夢は耳を塞ぎたくなった。
「あの、美剣さん」
愛夢と同様、置いてけぼりをくらっている黒髪の男性が声を発した。赤髪の男性はミツルギというらしい。ワイルドな見た目の通りとても強そうな名前だと愛夢は感心する。
「ん?あぁ、悪いな、応接室2も用意してもらってるからお前らはそっちな」
その間も続いている向井の罵声を、あーはいはいと、流しながら行け行けと言わんばかりに美剣が手をヒラヒラさせる。
「本当にあなたって人は・・・」と溜息まじりで黒髪の彼は呟き、愛夢を見た。
「はじめまして、私は漁火と申します」
ずっと下を向いて様子を眺めていたが、恐る恐る目線を上げる。イサリビと名乗った彼はとても丁寧な所作で名刺を愛夢に渡す。
黒髪に黒いスーツ、黒縁の眼鏡その奥に見える瞳はとても優しく愛夢を写している。
養母以外に自分をそんな風に見つめる人は今までいなかった。何だか恥ずかしくなってくる。その戸惑いを隠す為、慌てて名刺に目をやる。
政府特例機関 LET
フロウティス部隊所属
漁火 星雪
おどろおどろしい肩書よりも、愛夢は彼の名前に釘付けになる。イサリビホシユキ、何て綺麗な名前なのだろう。
「きれいな名前・・・」
思わず感嘆の声が出る。しまった!と漁火を見ると少し驚いた顔をしている。
「私が産まれた日の大雪の空が、星のようだったことから、両親がそう名付けてくれたんです。よく名前負けしているって言われるんですよ」
そう言い優しく微笑んでくれた。彼はその名前の通りとても心の綺麗な人なのだろう。自分なんかの為に、名刺まで用意してくれ、その上に先程の無礼も優しく笑って許してくれた。だからこそ申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
だってきっとこの勧誘は人違いなのだから。こんな所まできて、こんな奴の為に時間を割くことはない。さっさとそのことを伝えてこの場を去ろうと、口を開こうとする。
「西宮さんこそ、愛と夢で愛夢さんだなんて、とても可愛いらしいお名前ですね」
漁火の優しい声からなる賛辞が、愛夢の口をつぐませる。
すぐ側のソファでは向井が「オレにも名刺をよこせ!」だとか「おっさんと眼鏡変われ!」などと叫んでいるが、先程とはうって変わって耳を塞ぎたくはならない。
現金なものでもう少しこの優しい人の声に、耳を傾けていたくなる。
「漁火、いくら可愛いからって女子高生に手出したら犯罪だからな。今からでもオレと変わるか?」
美剣の低い声で凄まれると、漁火は慌てて「いいえ」と短く返事をし、愛夢を応接室2に続く廊下へと導く。
どっちみちここを出ないと話は進まない。愛夢はそう思い漁火に続いた。
応接室1を出る前にお辞儀をしようと振り返ると、美剣が手を振りながら口をパクパクさせているが見えた。
あ、と、で、な、そう言っているように見えた。
応接室2は1と違い長机とパイプ椅子が向かい合って並べられている、ごくありふれた部屋である。
その部屋で愛夢は漁火に向かい合わせで座るように促される。
お互いに着席すると漁火は、黒のブリーフケースから分厚い茶封筒を取り出す。「学生さんの貴重なお時間を頂戴しているうえに、お手数をおかけして申し訳ないのですが」そう言いファイルに入った一枚の紙を渡してくる。
'秘密保持誓約書'
「我々は政府の特例機関です。これから西宮さんにお話しさせて頂くことには、守秘義務が課せられます。ご理解頂けましたら、こちらにサインをお願いします」
書きやすそうな万年筆も一緒に用意されている。高価そうだな、とても自分なんかが使っていい品物ではないけど使わないわけにはいかない。傷つけぬよう壊さぬように優しくそっと持ち上げる。
青みを帯びた黒の万年筆、この色は何て名前だっただろう?
そんなどうでもいいことを思いながら、書き慣れた自分の名前を誓約書に記入する。
「書けました」
そう言い漁火に誓約書と万年筆を返す。どうせこんなもの書いたところで、秘密を打ち明ける相手など自分には存在しないし無駄だ。
さっさと彼に人違いだと伝えて教室に戻ろうとする愛夢に対し漁火は言う。
「ありがとうございます。西宮さんの字はとても可愛いらしいですね。人柄が現れるとはよく言ったものです」
屈託のない笑顔と、優しい声がまた愛夢を引き止める。嬉しくて笑いそうになるのを、また下を向き唇を噛んで誤魔化す。気持ち悪い、ニヤニヤするなと言われるのには慣れている。でも漁火にそう思われ口に出されたら多分、立ち直れない。
「もういいですか?」
早く退室しよう。愛夢は漁火の方を見ずに震える声で尋ねる。
「はい、それでは説明会を始めさせていただきますね」
違う、そうじゃない。見当違いの返答に慌てて漁火の方を見てしまう。テキパキと長机の上に書類が準備されていく。
「まずは我々、LET(レット)の成り立ちから説明させて頂きます」
そう言い終わると白い紙にサラサラと字を書き始める。
「先程も言いましたが我々は政府特例機関の為、自衛隊や企業のような勧誘用の資料はご用意できないのです。ですので手書きなのはご容赦ください」
living dead extermination team
漁火の字はとても綺麗で読みやすく、丁寧な彼の人柄がそのまま出ているようであった。愛夢は先程の言葉をそのまま返したい気持ちに駆られるが我慢する。次こそ言おうと、決意する。
「living dead は黄泉から返る死骸、extermination は殲滅、そしてteam(チーム)これらの頭文字を取ってLET(レット)と略称されています」
何か凄い話が聞こえる。だがそれどころではない。
漁火の説明が丁度途切れたタイミングを狙う。
「すみません!勘違いされています」
やっと言えたと胸を撫で下ろす。突然に話を遮られた漁火はきょとんとし、後にはっとする。
「すみません!誤字がありましたか?」
慌てて先程まで書いていた文字を見返している。
「違います!勧誘する相手を間違えていらっしゃいます」
優しく微笑まれてしまうとまた話を聞いてしまいたくなるので、下を向いて話す。
「え?西宮愛夢さんなんですよね?別の方?」
今更、言うなよ。そう思われても仕方ないが、向こう様の為にも、早いうちに訂正せねばならないので言葉を続ける。
「確かに西宮愛夢は私なんですけど、勧誘される理由がありません。おそらく書類の行き違いか何かで私の前の席の西田さんと間違えられたのではないでしょうか?」
やっと言えた!と安堵する、しかし人とちゃんと話すこと自体が久しぶりなので、吃ってないか不安になる。
「西田さんは私と違って剣道の県大会などで優秀な成績を収めていますし、向井君と違って授業態度もしっかりとしています!ちゃんと確認し直してください!」
どさくさに紛れて向井の株まで下げた。言いたいことを全て言い切って、疲れがどっと押し寄せる。漁火からの返事はない。
ついに怒らせてしまったのだろうかと心配になり視線を上げると、彼は横を向いて小刻みに震え笑いを堪えていた。
「すみ、ません、昔、自分も同じようなことを、言ったことを思い出してしまいまして」
深呼吸をした後咳払いをし、心を落ち着けたのか漁火は愛夢に向き直る。ニコニコという効果音が聞こえてきそうな今日一番の笑顔だった。
「突然現れた人間が、勧誘の説明に荒唐無稽なことを言うのだから戸惑ってしまうのは当然です。私もそうでした。」
彼は壁の時計に目をやると「実はですね・・・」と愛夢に囁きかけてくる。
「私、あっちに戻りたくなくて、もう少しここで西宮さんとお話していたいのです。愚痴に付き合っていただけないでしょうか?」
突然の相談に困惑した。自分なんかが?人違いなのに、愚痴に付き合う?壁に向かって話すのとそう変わらないであろうに?そう思ったが、応接室1からは今もまだ向井の怒鳴り声は続いている。
あの声に怒鳴られる漁火を想像すると、いたたまれなくなるのでつい首を縦に振ってしまう。壁よりはマシだと思ってもらえるように相槌だけはうつことにした。
「よかった!ありがとうございます」
漁火の笑顔につられそうになるのを唇を噛んで誤魔化す。
「先程お渡しした名刺の通り、私はLETのフロウティス部隊というところに所属しています。私以外に今、隣の部屋にいる美剣さんとあと二人の計四人がメンバーなのですが、皆さん我が強くて本当に大変なんですよ。ですので私、職場にも戻りたくなくてここでずっと西宮さんとお話していたいです」
ひとしきりの説明の後、漁火は盛大なため息を吐く。
丁寧で人当たりの良い漁火でもこんなに苦労するとは、向井の言う凄いヤバい企業は本当にヤバい所なのかもしれないと愛夢は恐れの念を抱く。
「説明会が今日ここであることは、今朝初めて聞いたんですよ。なので美剣さんと一緒に誰が説明会に行くか揉めまして、何故か麻雀の東風戦で最下位が彼について行くことになりました。私以外、全員グルだったのでしょう。お察しの通り、オーラス、私の親番で振込んでしまいまして、今ここにいます」
麻雀を知らないので全く理解できないが、とりあえずここにいるのは彼の本意ではないことは分かった。やはり自分なんかの為に、彼の時間が奪われることが申し訳ない。
愚痴が終わったら退室をしようといつでも立ち上がれるように準備をする。しかし漁火の愚痴は終わるどころかさらに激しさを増していくのだった。
「とにかく我がフロウティス部隊は協調性がなくて本当に困ります。今日だってちゃんと事前に相談してもらえれば、西宮さんに手土産の一つでもお渡しできたのに。大変心苦しいです!今からでも購買に行って何か買ってこようと思うのですが、よろしいでしょうか?」
赤べこのように首を振って相槌をしているだけの愛夢に突然、話がふられる。
「あ・・・購買は、学校関係者以外は使えません」
やってしまった。咄嗟のことに返答してしまう。
「残念です。お菓子でも食べながら雑談をと思ったのですが」
悲しげな彼に購買にはお菓子は売っていない、などという余計なことは言わない。
「喉、乾きませんか?」
そう言いながら漁火はブリーフケースから300mlのペットボトルを三つ取り出す。麦茶、緑茶、水、どれも無難な銘柄のものだった。
「甘い飲み物の方がお好みでしたら、今から自販機で買ってきますので遠慮なく言ってくださいね」
初めて首を横に振る。
「分かりました、ではどれにしますか?」
三つのペットボトルが並べられる。飲み物自体いらないという意味だったのだが、理解してもらえない。さっきからずっと漁火のペースだ。
「余ったものを、いただきます」
どうせ断れないのならばせめて先に、彼に選んでもらう。漁火は麦茶を選び、愛夢は水を選んだ。
「水で思い出したのですが、うちの部隊にうるさい人がいまして、自分は水は硬水しか飲まないからって自販機の水を総取り換えさせたい人がいるんですよ。やり過ぎだと思いませんか?」
ぺきっと小気味いい音を立ててペットボトルを開ける。麦茶を半分ほど飲んで彼は言う。
「愚痴、終わったと思いました?まだ半分も終わってませんよ」
漁火の乾いた笑顔から発せられた言葉に、椅子に座っていても立ちくらみを覚える。
「とはいえ、私のお給料は国民の血税から出ていますので、ここからは愚痴を交えつつお仕事をさせてもらいます」
まさかの愚痴と説明会の両立とは恐れ入った。
先程から話に出ていたフロウティス部隊の話をするのだも思いきや、漁火の口から出たのは、何の脈絡もないある事件の話であった。
「西宮さんは四年前に起きた'狂犬逃走事件'をご存知でしょうか?」
静かに頷く。
覚えているも何も当時は緊急事態宣言が発表され入国禁止令、外出禁止令が出された。
たしか都内の多頭飼育崩壊したブリーダーの家から十数頭の犬が脱走した事件。
大袈裟に思うかもしれないが、この犬が全てワクチン未接種であり新種の病原を保有していた為に、保健所と警察並びに自衛隊が、日夜総動員で捕獲にあたっていた。
高病原性が確認された為に一ヶ月近くもの間、外出禁止令が出され政府や自衛隊にクレームが殺到したのであった。しかしその一ヶ月の間に、病原の捕獲、及び処分に成功。
病原はASPウイルスと名付けられ、政府と民間の協力のもと研究機関が立ち上がりASPを弱毒化する物質を発見、並びにそれを用いたワクチンの作成に成功。そして治療法の確立と普及によって事態は、収束へと向かった。
その迅速な対応にWHOからも賞賛の声が上がり、都内における大きな混乱はほぼ無かったとされている。
漁火が見せてくれたその新聞の切り抜きは愛夢の記憶と大体同じようなことが書いてある。
当時はちょっと怖いなとか、学校が休みで嬉しいと思っていたものだ。なぜ今こんな話をするのだろう?切り抜きを返そうと漁火を見る。
「そこに書いてあることはほとんどが嘘です」
どこか悲しげに感じる微笑で彼は言う。
嘘?ウソ?うそ?何度も頭の中でその言葉を反芻する。テレビや雑誌にラジオも、当時はこの話題で持ちきりだったし今こうして新聞の切り抜きまである。
漁火が言ったことのほうが嘘なのだろうか。頭がぐるぐるして、嘘という言葉のゲシュタルト崩壊が起きそうだ。
「四年前、それは突然起こりました。都内にある劣悪なブリーダーショップ、そこで死亡した繁殖犬の1匹が突然、黄泉返ったのです。その犬は飼い主を噛み殺し脱走しました。」
先程、説明してくれたliving dead 黄泉返る死骸の話。とても現実的ではない。
「当初、保健所が対応にあたりましたが捕獲に失敗。そしてその時に職員二名が死亡しています。その後、警察から五名、自衛隊から十三名の犠牲が出ました。ただが犬1匹にです」
テレビでは、十数頭と言っていたし死者は飼い主のブリーダーだけだったはずだ。
「どんなに凶暴な犬種だったんだろうって思うでしょう?実は黄泉返った犬はトイプードルなんですよ」
驚いた。そんなはずはない。
「テレビではドーベルマンだって言っていたのに」
赤べこになることも、壁になることも忘れて思わず言葉が出る。
「素晴らしいです。よく覚えていましたね」
たった四年前のことを覚えていただけで褒めてくれなくてもいいのにと、愛夢は照れて下を向く。
漁火はそんな愛夢を見ないようにしてくれているのか窓の外を見ながら話を続ける。
「警察も自衛隊もその犬を殺してでも捕まえようとした。何度も致命傷を与えても立ち向かってくる不死身の獣。四肢を吹き飛ばしても噛み付こうとしてくるので頭を潰して、それでお終いだと誰もが思ったんです」
まだこの話は続くのだろうか。早くあの優しい笑顔で、なーんてねとか言って、冗談ですよと笑ってほしい。しかし漁火の口からはまだ恐ろしい話は続いている。
「頭を潰された犬は動かなくなりました。しかし今度はその犬に殺されたはずの、近くにいた警察犬の死骸が動きだし警察官の喉を食いちぎった。この黄泉返りの恐ろしいところはね、自身が動けなくなったら別の死骸へのり移れることなんです。でも誰もそんなことわかるはずがない。そうして尊い二十一名の命が失われた。」
誓約書を書いたときに使った万年筆を指でくるくると回しながら漁火は話を続けた。
「しかし、一人の自衛隊員がその犬を復活させずに殺すことに成功します。誰も倒せない、殺せなかった黄泉返りを。なぜ彼だけがそれを成し得たのか、すぐにこぞって研究が始まりました。早急に答えを探し当て対応しなければならなかった。なぜなら黄泉返ったのはその犬、一匹だけではなかったからです」
季節は十月、外は晴天であるにも関わらずなぜか震えが止まらない。
「黄泉返りを鉄製の檻に閉じ込め叡智の限りを尽くし調べぬきようやく辿りついた答え」
漁火は万年筆のキャップをはずし先程、LETの名称を綴った紙にペンを走らせる。
「黄泉返りの頭の中から発見されたのは未知の物質で、これが死骸を動かす原因であること。また件の自衛隊員の体内からも、先のものとは似て非なる物質が発見されています」
今はそんな状況ではない、わかっている。しかし紙に描かれたものを見て吹き出しそうになるのを愛夢は必死に堪えた。
それはおそらくは犬のイラストなのだろう、茄子のような形をしたものに点と点の目をつけたもの。犬の頭の部分には黒く塗りつぶした円があった。下手な絵だ。
「すみません、絵心がなくて」
自分でもわかっているのだろう、困ったようにはにかんだ漁火の笑顔があまりに幼くそして眩しく見えてしまって、愛夢の心はあたたかくなる。そしてまた咄嗟に返事をしてしまう。
「あっ、あの、かわいい、です!」
自分より、いくばくか年上の男性に向かってかわいいなどとは、何と失礼なことを言ってしまったのだろう。しまった、謝らなければ、そう思い口を開こうとする。
「本当ですか?よかった、友人たちからもお前の絵はじわじわくるものがあるって言われてるんですよ」
おそらくそれは褒め言葉ではないと思うが、漁火の底抜けの優しさに救われた。
今日はずっとそうだった。彼はどうすれば愛夢が快適に説明会を受けられるか、そのことにずっと尽力してくれている。
先程からの信じがたい夢物語ような話は、漁火以外の人間が話していても愛夢は絶対に信じなかっただろう。もう話を遮ったり席を立つような失礼なことは出来ないし、しない。
それが愛夢が彼にできる最大の礼だ。
「続けてください」
真っ直ぐ漁火を見据える。
「はい、ここより先は名称にギリシャ神話を用いた造語がでてきますが、これは研究者の趣味ですのでご容赦ください」
心地よいペンの走る音がする。
アスクレピオス(Asklēpios)
そう紙には描かれている、どんな意味なのかは全くわからない。
「アスクレピオスはギリシャ神話では死者を黄泉返らせる神とされています。そこから文字をとって黄泉返りの頭から発見された物質をアスピオスと名付けました」
茄子犬の頭の上にアスピオス(Aspios)の文字が書き足される。
「そしてこれにより黄泉返りは、動くものの意味を持つイオン(ion)とアスピオス(Aspios)を合わせてアスピオン(Aspion)と呼ばれるようになります」
続いて彼はその隣にまたイラストを描きはじめた。涙形をした猫だろうか?目は描かれていない。
「炎です・・・」
今度は照れながら笑っている、確かにじわじわくると納得した。漁火星雪の可愛さはまた愛夢の心をじんわり温めていく。
プロメテウス(Prometheus)
炎らしきイラストの上に書かれた文字。これは愛夢にもわかる、炎の神だ。養母と暮らした家のガスコンロのメーカーの名前でもあるのでよく覚えていた。
その横に書き足されるメテウス(metheus)の文字。
「アスピオンを倒した自衛隊員の体内からはアスピオスを消滅させる物質が発見され、これは炎の神であるプロメテウス(Prometheus)の文字をとってメテウス(metheus)と名付けられました。またプロメテウスは不死身の神とも称されています。人類の勝利への祈りを込めてこの神の名を使ったとのことですが、不死身の獣アスピオンと不死身の神の力で戦えだなんて何だか皮肉ぽいですよね」
漁火はパイプ椅子から立つと腕を上げ、固まった体を伸ばした。
「その自衛隊員は戦闘の際に怪我を負っていました。そしてたまたま頭部を突き刺したナイフに血がかかりアスピオンは壊れて崩れ灰になった。血液に含まれたメテウスを用いて彼は、後に一人で六体のアスピオンを殲滅しています」
その人が全てを解決してくれたのか、凄いさすが自衛隊員だ。
だからこそという疑問、それを漁火にたずねる。
「今の平和があるのはその人のおかげですね、どうして嘘をついてまで隠してるんですか?」
漁火は背中で窓にもたれかかっており、気持ちよさそうに日向ぼっこをしながら愛夢に言う。
「こっち凄くあたたかいですよ、西宮さんもどうですか?」
質問の答えが返ってこない、返事のかわりに愛夢は首を横に振る。漁火は「そうですか」と短く言い、長いため息吐きを吐いた後に答える。
「終わってないんですよ、何も。アスピオンは今も生まれ続けています。昨日はドブネズミでしたね」
なぜ漁火が窓際に来ることを勧めたかわかった。
背筋が凍る、素直に言うことを聞けばよかった。
二十一人を殺したアスピオンと呼ばれる化け物はまだ存在している。先程聞いた犬とは種類は違えどそんなものが日常に潜んでいるのか。
恐怖でまた下を向いてしまう。
そんな愛夢に漁火は優しく呼びかける。
「西宮さん、見ていてください」
そう言って漁火は握手でも求めるかのように掌を上に向ける。
「これが私のメテウスです」
彼の手の上に、砂鉄のようなものが集まりの真っ黒の球体が出来上がる。
突然の手品のような行為に愛夢は、え?という間抜けな声を出すしかできない。
黒い球体はまた砂のような状態に戻って今度は鳥の形になり応接室の中を飛び回る。
プロジェクションマッピングのようで全く違うソレを目で追うことしかできない。
「荒唐無稽なお話も、これで少しは信憑性が増したでしょうか?とはいえこれが何かは私にも説明できません。調べようにも採取しようとすると、ピンセットもプレパラートも顕微鏡も全て破壊してしまうので。他の方のメテウスは炎や氷といったとてもわかりやすい能力なのに」
俯いてそう話す漁火の表情は見えない。黒い鳥は溶けるように崩れて消えていく。
「その凶暴性からかアスピオンは自身を殺す存在であるメテウスに強く惹かれ集まる性質をもっています。それを利用して都内二十六ヵ所、無人の工場地帯、空き地、建設現場などに私のメテウスで作ったデコイを設置し、惹かれたアスピオンを人知れず迅速に処理しています。その甲斐あって死骸がアスピオン化する事例は、今現在は都内でしか確認されていません」
優しく丁寧な彼、愚痴っている彼、絵が下手で、はにかむ彼。そのどれも今、耳から入ってくる情報に似つかわしくない。
「一番大事なことを言い忘れていましたね。人間は死んでもアスピオン化しませんので安心してください。先程どうして嘘をついてまで隠すのか、と問われましたが西宮さんはアスピオンなんてものがいる国に住みたいと思いますか?旅行にきたいと思いますか?食品を食べたいと思います?」
そんなことの為に、とは言えない。たくさんの人の生活が滅茶苦茶になってしまう選択を彼らは出来なかったのだろう。
「部隊結成当初は、過疎地域や山中にて殲滅作戦が行われていました。でもね、そういうところって凄く強い獣がいたり死骸が多いんです。私たちにしかアスピオンは倒せないので、代わりもいないし何かあってからでは困るのでしょうね。迅速に処理し、秘し隠すならばと死骸の少ない都内で戦うことが認められました」
変わらずに窓にもたれかかったままの漁火だったが組み合わされた両手の指と指は力の入れすぎで色が変わっている。
「あれは本当につらかった」
呟く彼の表情は下を向いているのでわからない。胸が苦しい、見ていられなくて愛夢は初めて彼の名前を口にする。
「漁火さん、ごめんなさい・・・」
こんなに大変な苦しい思いをして皆んなの生活を命を守ってくれている、自分みたいな無価値なヤツな為に時間を無駄にしていい人ではないのに。
感謝以上に申し訳なさが入り混じる。
「どうして西宮さんが謝るのでしょうか?むしろ私は貴女にお礼を言いたいです」
何を言っているのだろうこの人は、と愛夢は思った。辛そうに笑う顔を見ていられない。
「さっきの今の平和があるのはその人のおかげだと言ってくれて、すごく嬉しかったです。だってその言葉は西宮さんが今日が平和だと思ってくれているからこそ出た言葉ですからね」
「少なくともアスピオンなんてもの、私は知らなかったです」
漁火は眼鏡の位置を直し、姿勢を正して愛夢の前に歩み寄ってくる。
「我々の仕事は人知れずアスピオンを殲滅しそれを秘し隠すこと、正直うまくやれているのかずっと不安でした。でも今日ここにきて学生さんたちが笑っているのを見て、貴女から直接その言葉を聞けてこれまでの私が、そして仲間たちが報われました。私はそれが嬉しい、だからありがとうございます」
強いのに儚い、そこにいるのに遠い、世界で一人ぼっちのような漁火の笑顔を見て愛夢は思い出した。
彼に借りた万年筆の色の名前を。
それは濡羽色、雨に濡れた鴉の色。
彼らしか戦える者がいない、選ばれたものしかその戦いを知らない、感謝されることもなく終わらない戦いを続けている。
あんな一言で報われるわけがないのに。そんな彼がまるで雨の中に佇む孤独な鴉のように思えて目頭が熱くなる。
「今日ここにきて、西宮さんにお会いできて本当によかったです、あのとき七萬をきってよかった」
そんなことを言ってもらう価値は自分にはない。この説明会の間も自分は早くこの世から消えてしまいたい、こんな地獄みたいな人生早く終わればいいのにと考えていた。
守る人の中に自分なんて入れなくてもいいのに。
話を変えたくてちーまんって麻雀のことですか?そう聞こうと思ったのに声が出ない。
「西宮さん大丈夫ですか?」
漁火が心配そうな顔でこちらを見てたずねてくる。
涙が頬を伝う、とめどなく流れて前が見えない。
「あれ、ごめんなさい、何でだろう、わたし、すみません」
「申し訳ないです、私の話が少し怖かったでしょうか?」
そういって座っている愛夢にかかんでハンカチを差し出してくれる。受け取らない意思を伝えるために首を横に振る。
優しくしないでほしい、汚い自分に綺麗な漁火のハンカチを使う資格はない。毎晩、怒りや不安と悲しさで流れる涙が今日のイレギュラーな出来事のせいで止まらない。
緩んだ涙腺は決壊しついには嗚咽が漏れる。
"ごめんなさい、止まれ、汚いものをたれ流すな、声を出すな、漁火さんを困らせるな、あぁ本当に私は私が、西宮愛夢なんて大嫌いだ!"
心の中の自身に対する怒りが、涙をさらに幾すじにする。
「具合は悪くないですか?今日はもう終わりにしてまた後日に改めて話の続きをしましょう」
顔を手で覆ったまま頷いて立ち上がる。
漁火は本当にどこまでも優しい、自分のことしか考えられてない自分が惨めになってしまうほどに。
いっそ怪しい壺や英会話教材を買わせようとしてくれたほうがよかった。
「落ち着いてからここを出ましょう」
首を縦に振るが、返事なのかそれとも嗚咽で頷いているのか自分でも訳がわからなかった。
ドンドンと乱暴にドアをノックする音が響く。その音は廊下からで、返事を待たずに扉が開かれる。
ネクタイを外し背広を脱いだ美剣だった。
「入るぞー、漁火、説明どこまで進んだー?」
三人の視線が交わり静寂が訪れる。
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