第13話 煮方物・切り身の煮付け
キンメやカサゴなど赤い魚は煮付けが美味い。骨から旨味が沢山出るので姿煮が至高であり究極だ。魚介の旨味は熱を喰わせるのが基本。だから熱を下げながら熱を加える。水を足しながら煮ると旨い。温度を下げず、キープするのが難しいのだが。
これは焼き魚でも同じ。
霧吹きを使いながら長く熱を加える。
魚は熱を食べて美味くなる。
だから焦げないように。
だからやり過ぎないように。
焼き方、煮方は命を削る。
そんなん家庭料理で出来るか!
というツッコミは正しい。
出来る筈がない。
俺も海原雄山にやれと言われたら海原雄山の後頭部を掴んで備長炭で顔面をコンガリ焼くと思うし、調理に手間暇なんかかけたくねえ。パッパと作って旨いもんがいい。だから今回は海原雄山にはニフラムを唱えて光の彼方へ消え去って貰った。
切り身での。
祇園の煮付けをご紹介させて頂く。
・材料
赤い魚の切り身、梅干し、生姜
・調味料
めんつゆ、和風出汁の素、酒、砂糖
①これだけで決まる。一度切り身を熱湯に30秒潜らせる。霜降り、または霜落としや霜茹での工程。身を引き締め、アクを出す。味が入る形にする。煮付けには必須。すぐに氷水で冷やす。
②生姜はスライスと千切り。煮込む生姜と飾る生姜は違う。生姜は味を切る役目があるので懐石料理にはマスト。懐石料理じゃねえって場合でも酒毒を抜く。浮腫も抜くし若さを保つ。出来るだけ多めに使う。
③さしすせその規律なんか無視。調味料は全部混ぜておく。分量なんかテキトーだ。ただ薄味を煮詰めるのがコツ。薄味を煮詰めるのがコツだぜ。梅干し入るしな。
④切り身を鍋に並べたら冷たい状態から煮る。梅干しも加える。梅干しはなるだけ自家製。三つぐらい。塩も醤油も使わないから梅干しで調整。キレのある煮付けになる。キレのある煮付けは食べ飽きない。
酒は熱燗。
山形だと一耕か大山。
新潟だと八海山。
淡麗辛口を熱燗にしてくれ。
悪酔いしねえから。
煮付け食いながら熱燗飲みながら、将棋。
一万円札賭けて。
祇園の真剣師ってか。
まあ。
裏方のギャンブル。
お試しあれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます