第3話 汁物・じゃっぱ汁

 京懐石の料亭では絶対に出ない汁物がある。雑多に具材が入るような物で、豚汁が解りやすい。シンプルにお出汁を楽しむのが京料理なので具材が沢山入ると味が混ざってしまうと言われている。

 しかしながら。

 京都・祇園では賄いとして具沢山な汁物が出される事は珍しくない。

 まず、盆地のクソ暑い土地だ。

 んなとこで舞妓さんや芸子さんは仕事をする。

 栄養価の高い食事をしないと倒れる。

 熱中症で。

 其処で叔父は酒粕を使った郷土料理を振る舞っていた。美しいお出汁とは対岸に位置する旨味が押し寄せる汁物をだ。私が祇園にいた時、色んな方々とその汁物を食べながら酒を呑んで笑っていた。『お武家様』と私を呼び、親しみを込めて頼ってくれた。


 ありがとな。

 祇園の皆。


 ・材料

 冷凍の魚介のアラ、玉ねぎ、じゃがいも、豆腐、人参、大根、牛蒡、酒粕、生姜、大葉、長ネギ


 ・調味料

 味噌、和風出汁の素、水、味醂、日本酒


 ①鮭のアラや内臓が望ましい。でもタラやアンコウ、ブリとかでもいい。なんならサンマやアジの悪くなった刺身でもいい。解凍したら塩をクソほど振り、臭味となる水分を抜く。アラ汁の場合は焼いた後で煮るけど、じゃっぱ汁はアラを焼かない。塩で水分抜いて、日本酒に着けておく。


 ②大葉と長ネギ以外の野菜はゴロゴロに切る。大葉も長ネギもトッピング。千切りかスライスにする。


 ③酒粕は先に溶いておく。入れ過ぎるとアルコールが飛ばずに食った人間全員が酔っ払うので注意。でも入れ過ぎるぐらいが美味い。


 ④鍋に具材を入れたらヒタヒタまで水。和風出汁の素と味噌で調味。酒粕も入れる。火加減はずっと強火。グツグツなってアルコール飛ばしながら食う。


 ⑤椀に移したら大葉と長ネギを散らす。


 旨味が喉に張り付くような汁物になるので酒はビールか淡麗辛口の日本酒で。未成年は甘くない炭酸水が良いかもな。アラを焚いたり煮たりすると黒いアクが出るぜ。その黒いアクは肉も魚も毒だ。そいつだけは取り除いてくれ。

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