第1話

「ここが ラストダンジョンの最深部か」


 VRMMOゲームの(フレンド グランスイング)略してフレグランスをプレイ中に死んだオレは、ゲームの中に転生して女神サフィスに気に入られ、ようやくクリア目前である。


「マスター

ようやくたどり着きましたね」


 この、かわいらしいのは奴隷商人から買ったマリン。

 髪は金色で、目の横でそろえられカールしているショートヘアで、胸と股間に金属のアーマーを着けた軽装だ。


「ああ………

これもマリンのおかげだ

ありがとう」


 頭を、下げて礼を言うオレ。


「そんな

わたしはマスターサーベルティガーさまの奴隷ですから」


 ちなみに、サーベルティガーというのはオレのプレイヤー名ね。


「そうだったな」


 あー、長かった旅路がもう終わってしまうのか。


「はい」


 リアルの体は、死んでいるのでこのゲームをクリアしたらどうなってしまうのだろうか。


「なんだここは?」


 残された、最後の扉を開けて階段をのぼると、


「さぁ どこかわかりませんマスター」


 周囲の、ビルを見上げるマリン。


「いや オレはここがどこかわかっている」


 どう見ても、トーヨコだ。

 周囲の人々が、いきなり穴があいたと大騒ぎしている。


「さすがマスター

頼れるお方ですわ」


 憧れの、眼差しを向けて来るマリン。


「うむ………」


 生きて、二度と戻ることは出来ないと思っていたが戻れて感慨に浸っている。

 しかし、ダンジョンの出入口ってオレが出たらサーッと消えるモノじゃないの?

 どうやったら、この穴はふさがる?


「おい いきなり陥没した穴から変なの出て来たぞ」


「地底人じゃあない ??」


 周囲の、視線が痛い。

 そりゃそうだ。

 いきなり、西洋甲冑を着た戦士が出て来たのだから。


「とりあえず 秋葉原方面に行こうか」


 所持金が、とりあえずゴールドとかなのでアイテムを売って家に帰るお金を作らなくちゃ。


「アキハバラですか? なにをするのですか ??」


 異世界に、興味津々のマリン。


「ちょっと用事があって行くのだ」


 マスターとして、カッコ悪いところは見せられない。


「はい 失礼いたしました」


 頭を、下げるマリン。


「うむ」


 そうして、なんとか電車代を捻出して自宅のマンションに帰ることが出来て、


「ここにっと

よしこれで開けられる」


 カギを、落とした時の為に隠してあるスペアキーで開ける。

 あっちでは、何日もすごしたのに日付を確認したら3日ぶりのわが家だ。


「ここが マスターの家ですか ??」


 やたら、キョロキョロするマリン。


「うん めっちゃゴチャゴチャしておるが」


 ちょっと、ゴミが散らかっちゃっている。


「いえ

全然大丈夫です」


 気に、留めない様子のマリン。


「それなら良いが」


 超ハズいー。


「おっ? 無いな………」


 おそるおそる、ベッドを見るが自分の遺体が無い。


「ない? わーッベッドだぁ」


 ベッドに、飛び込むマリン。


「ちょっ」


 ヤバいって。


「マスターのニオイがする~」


それから数日後


「うーん

魔物は出て来ないな」


 ダンジョンの、出入口がふさがらないせいで、起きている時間はマリンと監視することにしたのだが、


「ねぇ マスターさん」


 しょっちゅう、声をかけられる存在になってしまった。

 誰かが、SNSにアップしたのだろう。


「あっはい」


 また、見知らぬ女性だ。


「アタシ性奴隷なんで一緒にダンジョンに潜ってくれませんか ??」


 彼女は、自分に表示されたステータスのことを言う。


「今日もか

まいったな」

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