2.深夜の病室

 深夜。ケンジの体は高熱に襲われた。ベートーヴェンの言っていた通り二酸化炭素中毒症なのか?それとも、新型ウイルスなのか?『大丈夫か?ケンジ』、『俺たちが何とかするからがんばれ』。励ましのメッセージが届く。しかし、呼吸は苦しく、ついには身動きすらもできなくなってきた。

 かつて、死にそうになったことが一度ある。小さい頃、台所で折りたたみいすに昇り、転倒した際、落下してきたガラス戸で頭を切ったことがあった。数センチずれていたら、頸動脈を切って、死んでいたかもしれない。今回の高熱はウイルスなのだろうか?次第に、スマホ上のメッセージは既読がつかなくなった。ケンジの意識も朦朧とし始めた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る