第11話 もふもふをもふもふする

友人の腕の中にいる真っ白でまんまるな狐は私を見ると、そのくりくりとした目で私を見つめてきた。


「キュィ?」


か、かわいい…。


無意識の内に私の手は狐へと伸び、もふもふをもふもふしていた。


「キュー」


柔らかく、もふもふな毛並みを撫でていると、私の悪しき部分が浄化されていくような感覚がした。


「いや、スイちゃんは悪しき部分なんて無いでしょ」


そうかもしれないが、昇天してしまう程のもふもふだった。


「いや、昇天はしないんじゃないかな。ここ、”天界”だし」


…。


「おーい。まだもふもふしてんの?」





…。





「もしもーし?」





…。





「えぇ…。いつまでもふもふしてるの?」





…。





「仕方ないなぁ…。えいっ!」


「キュィィィ!?」


「あぁっ!私のもふもふがっ!」


”友人”が私の狐さんを取り上げた。

私のもふもふを返せっ!


「あのねぇ、さっきから1日位もふもふしてたんだよ。少しは危機感持ってよ」


「危機感…か。何かを忘れているような…」


「なんで忘れてんのかなぁ…。ptはどうしたの?」


あっ!


「忘れてた!どうなってるの!?」


急いでpt欄を確認すると、そこにはこう表示されていた。


===


残りpt数:7247541890(約72億)


===


…なんで増えているの?


「説明しよう!この私が”イレギュラー”の魂を全てptリソースに変換したからだ!」


友人が言い切ったぞっ!と言う雰囲気を醸し出しながら某アニメ風で私に説明してくれた。

それ言いたかったのかもしれない。


「でも、”イレギュラー”の魂だけでこんなにptが手に入るものなの?」


「否!私が”イレギュラー”の魂を崩壊させる寸前に莫大なエネルギーを込めたからだろう!」


「…それって、”制約”とやらに引っ掛かりそうだけど?」


「……。多分大丈夫だ!問題ない!」


友人がどこぞの某主人公風でいう。


「…大丈夫かどうかは一旦さておき、このpt量はあなたのせいってこと?」


「まあ、そういうことだね」


「方法が方法だけど、私のためにptを貯めてくれてありがとう」


「どういたしまして」


感謝の気持ちを伝えることは大切だと思う。

例え、その方法がおかしかったりしても。


「キュイ、キュイ」


狐さんも頷いている。


「あれ?そういえば、この狐さんってなんだっけ?」


「キュイ!?キュキュキュキュー!」


「あー、スイちゃん。その狐はね、一応上級神なんだよ」


「なんかそんな事を言っていたような…。まあ、もふもふは可愛いからよし」


そう言いながら、またもふもふを始めようしたが、


「ちょっと待ったぁ!【強制変身】解除!」


友人が狐さんの変身状態を解除してしまった。


「こほん、こほん。あー、酷い目にあったのじゃ」


あー、分かっていたけどその上級神様だったか。


「知っていると思うが、妾はテンコじゃ。久しいの、スイリエル」


そこには真っ白な九つの尾を持つ、狐耳を付けた少女が立っていた。



…一糸まとわずに。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ども、のこじです。

”友人”は意外とかまってちゃんな部分もある。

狐さんは可愛い。

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