第11話 Xの正体

長宮「俺は今から南一郎殺人犯の三滝を殺しこの事件を終わらせる」


長宮は厨房の包丁を目当てに食堂へ向かう


暴念「お、おい! ちょ待てよ」


暴念も追いかけ食堂に向かうと、そこには三滝と光莉がいて話をしていた。そして圭と美緒も飲み物を取りに行く為食堂に入ってきた。


圭「あれ、皆集まりましたね」


三滝「そうだな、圭は美緒の部屋にいたよな?」


圭「はい」


三滝「隣でうるさくしてすまなかったな」


圭「あ、光莉の部屋にいたんですか? 全然気づかなかったです」


三滝「そうか、なら良かった。じゃあそろそろ部屋に戻るよ」


長宮「まて!」


長宮は包丁を三滝に向ける


三滝「どういうつもりだ?」


長宮「南一郎を殺したのはお前だな」


三滝「フフッ、何故そう思ったのか聞かせてほしいな」



長宮「まず4人(目田、愛花梨、源田、葵) を殺した犯人はXだ。まず目田の事件だが、目田の部屋に予めXは忍び込んでいた、南一郎の推理で目田が監禁されたのは偶然ではなく必然だった事が分かった。その後も南一郎の書いたメモ通り源田が殺される場所等に先回りして潜伏していたんだ」


三滝「なるほど、つまりXは内通者と連絡を取らなくても南一郎のメモで次にとるべき行動を予想できていたと言うのか」


長宮「そう、Xと協力者は連絡などしていない、つまりこっちの犯人には誰にでもなり得ると言う事た」


三滝「そっちの事件が俺と関係していると? お前は俺を南一郎と根岸を殺した犯人として疑ってるんじゃないのか?」


長宮「それが関係あるんだ。なんせ根岸の窓の下に目田の布団を人の形に置いたのはXだからな」


圭「な、何!? Xは根岸さんと南一郎を殺した犯人に復讐したがってるんですよ! 協力なんかするわけ無いじゃないですか!」


長宮「愛花梨が殺された時、三滝は偶然旅館内でXを見つけてしまったんだ」


長宮の意見はこうだ。その後Xは三滝に従わざるを得なくなり、Xは協力者と連絡は取れないため協力者に助けを求める事ができなかった。


美緒「でも矛盾があるわ。Xが三滝を南一郎殺しと判断できたら、Xはその場で三滝を殺すんじゃないの?」


圭「そうですよ、それでXと内通者の復讐は終わるじゃないですか!」


長宮「ふふっ...そのXがあまり体の良くない年寄りだったら?」


光莉「おばちゃん...」


長宮「おばちゃんの身長なら南の小説通り隠れ潜んで犯行...と言うのもやりやすいだろ。それも不意打ちで殺すんだから簡単な事だ、でも三滝の殺し方は予め小説に書かれていないし三滝自身の警戒心が強すぎて不意打ちなんて出来たもんじゃない」


三滝「だから俺に従ったと...おばちゃんが橋の爆発で死んだのは圭達が見ていたはずだが?」


圭「はい。美緒も見ていました」


長宮「この場所は何もかも用意周到にされているんだ、橋から落下したように見せかけるのは簡単だろ」


光莉「うーん...でも今の話、三滝じゃなくてもできるんじゃない? 私でもあんたでも」


長宮「そう、そこが肝なんだ。なぜ俺が三滝を犯人だと思ったか...それは、三滝の職業だ」


三滝「俺の職業?」


長宮「探偵と言う事件を解決に導ける職業の人間がいながら、何故この小説はまぬけな学生が主人公なんだ?」


三滝は殺人計画書をテーブルに置く


圭「た、確かに。なぜ俺が主人公で三滝さんが脇役なんだ」


長宮「その理由はただ1択、三滝が犯人だから主役にはできなかったんだ」


暴念「そういう推理の仕方もあった...これは完全に南一郎のミスだ」




三滝「......」




圭「三滝さん、本当の事を教えて下さい! 南一郎、そして根岸さんを殺したのはあなたなんですか?」






三滝「フフッ...そうだよ。俺が2人を殺した」


圭「み...三滝さん!!」


三滝「別に死んでもいい2人だったじゃないか...お前らだってそうだ! 死んで当然のやつ殺して何が悪いんだ!!」


暴念「お前らだって!? 根岸や葵、圭だって本当に死んでいい奴なのか!?」


三滝「人を殺した事は変わらないだろ! てめぇらも全員殺してやる!」


三滝が身一つで全員に殴りかかろうとする...




ドスッ.... 




暴念が三滝を一発で落とす



暴念「ふー... さ、こいつどうするか」


長宮「こいつを殺すのは俺じゃない。目田、愛花梨、源田、葵を殺した犯人だ」


圭「そうだ! 確か書いてあった」



"南一郎を殺した犯人を見つけたら、私は自ら名乗りでる"




..................




美緒「誰も出てこないじゃない」


圭「そもそも、犯人を見つけても名乗りでないつもりだったのかな」


光莉「いや普通に考えてさ、こんな皆がいる前で三滝殺そうとしても失敗する確率もあるじゃん」


圭「確かに...少なくとも俺は止めに入ってた気がする」


長宮「つまりこうすればいい。三滝を部屋に監禁して全員が自分の部屋に1時間待機、何がなんでも部屋から出ちゃ行けない」


暴念「そうすれば犯人だけ部屋を出て三滝の部屋に行き殺害できると言う事か」



光莉「そうとなればさっさと三滝運んじゃいましょ」


男性陣で三滝を2階の部屋まで運びロープでテーブルに縛り付け各自部屋に戻った。そして1時間後に皆で三滝の部屋に集合する事にした。




待機を初めてから5分後...



トントン...ギギィ~


ノックの音と共に三滝の部屋のドアが開く



三滝「ふふっ..来たか犯人........」














光莉「ええ、来てあげたわよ」



光莉は手にフライパンを持っていた。




光莉「これで、この後来る犯人を捕まえればいいのね」


三滝「あぁ...これで遂に、犯人と直接対決だ」



三滝は南一郎を殺した犯人ではなく、4人を殺したXの協力者を誘いだす為にあえて嘘をついた。それに気付いた光莉が協力する為に部屋にやってきたのだ























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