第六話 初めての街、そして冒険者登録
初魔法の大失敗から一時間後、私はグミちゃんを肩に乗せながら歩いて、遂に街の防壁に到着しました。
歩きながらグミちゃんに指導を受けながら魔力循環をしていたけど、自分の中でもまだまだって感じがします。
武道と同じく、魔法もいきなり上達はしないね。
「はい、では街の中に入って良いですよ」
「あなたは、別の部屋でもう少し話を聞かせて貰います」
「では、次の方どうぞ」
防壁にある門では、兵が街に入る人や出る人の事を忙しそうにチェックしていました。
悪い人が入らない様にする為にしないとならないでしょう。
この様子を見ると、世界史で習った国境警備隊やTVで見た空港職員みたいな状況だ。
怪しい人は別室送りになっているし、そこでは更に厳しい取り調べが待っているのだろう。
果たして、私の場合はどうなのだろうか。
「はい、次の人」
「あっ、はい」
この時間は街に入る人が少ないのか、あっという間に私の番になった。
緊張しながら兵の前に立つと、そこには私にとっての異世界で初めてあった人がいました。
「やあ、君か。無事にたどり着いたみたいだね」
「あっ、はい。その節は大変ご迷惑をおかけしました。あの、マイと言います。この子はグミちゃんです」
「マイちゃんにグミちゃんね。はい、通って良いですよ。冒険者ギルドは、この通りを真っ直ぐ進めば冒険者ギルドに着くよ」
「冒険者ギルドまで教えてくれてありがとうございます」
さっき馬に乗って私の所にやってきたのは、この防壁の守備隊の人だったんだ。
振り返ると私が魔法で穴をあけた辺りが良く見えるし、そりゃ何があったって思うよなあ。
親切にも冒険者ギルドの位置を教えて貰ったので、私は防壁の門をくぐって街に繰り出しました。
「わあ、思った以上に活気があって、街も発展しているよ」
レンガ造りの家が建ち並んでいて道も広く整備されていており、市場には沢山の品物が並んでいた。
商人の威勢の良い声が響いていて、買い物客もどれを買おうかと真剣な表情で商品の品定めをしていた。
チラリと道から大きな商会を覗いてみたけど、品物も沢山あるし可愛い服もあった。
今までいた世界が発展しすぎたのかなと一瞬思っちゃったけど、その世界や時代に生きている人はその世界や時代のやり方に慣れているもんね。
逆にこの世界の人たちが元いた世界に来たら、それこそ慣れるのは大変だろうな。
そんな事を思いながら道を歩いて行き、無事に冒険者ギルドに到着です。
「グミちゃん、思ったよりも普通の建物だね。レンガ造りの三階建てか、この辺りでは一番大きい建物だ。教会っぽい建物も近くにあるね」
私とグミちゃんは冒険者ギルドの正面から建物を見上げているけど、中々立派な建物だった。
道をはさんで反対側には教会が建っていて、人が出入りしていた。
服装は、ワンピース型のシスター服だね。
ではでは、さっそく冒険者ギルドに入りましょう。
魔法の大失敗があってから、何だか少し吹っ切れた気分だね。
ガヤガヤガヤ。
「おお、沢山の人がいる。装備も人によって違うんだ」
受付の列に並びながら、私は周囲を見回した。
一階は奥に受付があり、階段も奥にある。
広めの個室が二つあって、対角には依頼掲示板と買取の手続き用の窓口があった。
お昼に近いのもあるのか、受付に並ぶ人は少なく依頼掲示板や買取窓口に並ぶ人が多かった。
私は比較的軽装だけど、中には鎧みたいな重装備をしている人もいる。
一方では、普段着に軽装と私に似た装備の人もいる。
自信満々そうなスタイル抜群の女性が、ほぼビキニのような服に軽く羽織物をしていた。
うん、スタイルは羨ましいけど、気が強そうだから様子見にしよう。
そして、直ぐに私の番になった。
「はい、次の方どうぞ」
とても綺麗でスタイルの良いお姉さんが、私の事を呼んだ。
この世界の女性はみんなスタイルや顔が良いのか、美人さんばかりです。
「冒険者登録をしたいんですけど」
「冒険者登録ですね、畏まりました。では、この申込用紙に必要事項を記入して下さい」
私は、申込用紙に必要事項を書き込みます。
グミちゃんも、ぴょんと私の肩から飛び降りて申込用紙を覗き込んでいました。
日本語じゃないのに、何故かスラスラと書くことができます。
今更ながら、何か言語関係で翻訳できる能力があるんだと気が付いた。
うん、まだ自分の事を冷静に見つめられていないんだなと、心の中で溜息をつきながら改めて思った。
さてさて、記入していて困った事が。
名前や年齢に性別は問題ないのだが、職業に何を書けば良いのか分からない。
「すみません、職業欄に何を書けば良いのか分からないのですが」
「職業欄はあくまでも参考程度です。戦闘スタイルを書いて頂く事になりますが、魔法が使える場合は優先的に魔法使いと記載して頂きます」
恐らくこの職業欄は、冒険者ギルドが登録している冒険者の戦闘スキルを把握する為に設けているんだな。
私は聖魔法が使えるので、魔法使いと記載しよう。
本来なら、格闘家って書くのが正解なんだろうな。
「はい、記入できました」
「ありがとうございます。では、確認しますので少々お待ち下さい」
受付の女性は、簡易スキャナーみたいな道具で私の書いた紙を取り込んで、タブレットみたいな道具で入力作業をしていた。
これが魔導具と言われるものなのだろうが、こう見ると中々ハイテクだ。
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