駆け回る姫君

さて、牢屋から脱出したのはいいものの


「おい!!シャルル姫が脱走したぞ!!」

「探せ探せ!!」


私が脱走した事が兵士さん達にバレてしまいました。


なので......今の私は、兵士さん達を倒しつつ、城の中を進んでいます。


何で、こういう時の伝達は早いんでしょうかね?


あ、もちろん、死に繋がるほどの傷は負わせていません。


私、そこまで魔族を恨んでいませんので、殺すことはしませんの。


「失礼します!!」


そう言った後、バッタバッタと倒していく私。


あぁ!!やっぱり剣って楽しいですね!!


「おい!?アイツ剣を扱えるのか!?」

「誰だよ!!あの姫様のことをお淑やかだって言った奴は!?」


お淑やか?


「私、そんな柄じゃないんですけどね」


そう呟きながら、城の中を進んでいく私。


「邪魔です!!」

「グギャア!?」

「グァァァ!?」


しばらく、兵士さん達を片付けていると


「お前か.....牢屋を抜け出した姫君というのは」


竜のツノ・尻尾を持った、いかにも強そうな魔族が出てきました。


「あなたは?」

「俺はドラド、四天王の一人......と言えば分かるか」


四天王......あぁ、確か、魔王直属の部下.....でしたっけ?


こんな所で出会えるなんて....


「なんて幸運なんでしょう!!」

「は?」


私の言葉を聞き、思わず、そう声を漏らすドラドさん。


「あの!!私、魔王軍の軍門に降るためにここに来たんです!!ですから、魔王様の元に案内してくれますか?」


ドラドさんに対し、私がそう頼むと


「はぁ!?」


当の本人は、とても驚いた顔をしていました。


「お前.......魔王様の部下になりたいがために、わざと捕まったのか!?」

「はい!!」


だって、魔王軍は実力主義者が多い組織。


私の実力を試すのには、ちょうどいい機会ですもの。


「.....馬鹿なのか?」

「えぇ、私は馬鹿です。正確に言えば、戦うことしか考えていない馬鹿ですけどね」


ドラドさんに対し、城にいた時に培った営業スマイルをしながら、そう言う私。


一方、ドラドさんの方はというと


「そうか.....なら、尚更通すわけにはいかない」


どうやら、私と戦うことにしたらしい。


まぁ、そうなるだろうとは思っていました。


「そうでなくては!!」


そう言った後、剣を構える私。


「では......行きます!!」

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