ヴァルキュリアクエスト〜魔王に攫われた姫ですが、今は魔王軍の幹部をしています〜

@marumarumarumori

序章

拐われし姫君

拝啓、お父様、お母様へ。


私、シャルル・ピア・パヴァロアは、魔王軍に拐われてしまいました。


そして.....今は、冷たい牢屋の中にいます。


こういうのもはしたない言葉を使うの何ですが..........やったぜ!!


これで、ガミガミうるさい教育係からも、王族とはなんたるかを延々と語る両親からも、自分の自慢ばっかりする勇者からも、解放されました〜!!


いや〜、よくぞ攫ってくれました。


ここまで頑張った甲斐がありました.....


でも、牢屋暮らしが続けば飽きてくるもので.....


「てなわけで、剣をください」


今現在の私は、兵士さんに対して交渉をしていた。


何で交渉しているのかって?


そりゃあ.....脱出するために決まっているでしょう!!


「お前、自分の立場を分かってるのか?」

「失礼な!!ちゃんと分かってますわ!!」

「だったら、何でそんな催促をするんだ?」


何でって.....


「だって、牢屋の中は暇ですもの」


私がニッコリと笑いながら、そう言うと


「ダメなものはダメだ」


兵士さんは、バッサリとそう言うのだった。


「む〜」

「んな顔をするな」


姫のワガママを聞かないなんて......融通が効かない人ですね。

かくなる上は......


「オリャッ!!」


股間に向けて膝打ちです!!


「グハッ!?」


膝打ち攻撃が余程痛かったのか、そのまま気を失う兵士さん。


フフフ、乙女の一撃を舐めたらダメですよ。


念のために、強化魔法を習得しててよかったです。


そう思いながら、私は兵士さんの懐から鍵を盗むと


「お邪魔しました〜」


そのまま牢屋から脱出した後、気絶している兵士さんから剣を盗み、それを装備する私。


ふと、自分のドレスのことが気になった私は


「いざ戦うとなったら、この姿では戦えませんね」


ドレスをビリビリに破り、戦いやすい格好に変えたのだった。


「これなら、魔王様の元に何とか行けそうですわね」


そう.....私が攫われることを選んだ理由はただ一つ。


魔王様の軍門に降ること。


そのために、あえてか弱い乙女を演じたと言うわけなのです!!


「でも......まさか、あっさりと私の演技に引っ掛かるなんて、思いませんでしたけどね」


自分的には、そんなに上手くない演技だと思ったのですが.......事が上手く運んだのなら、大丈夫ですね!!


「さてと.......行きますか!!」


魔王様......どんな方なのでしょう?


そんな期待を胸に秘めつつ、私は魔王様の元へと向かうのでした。


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