ガチのエッセイ

加福 博

第1話 私の出自

 私は、自己紹介する際に名字を言った時点で、相手に、あっ、こいつ中国だなと思われている。しかし、それでも婉曲的にまあ縁起の良い名前ですよねとか言ってくる。彼ら彼女らは私が自白するのを待っている。父親は、そこをはぐらかせて、先祖は江戸時代オランダ通詞(つうじ)だったんですよと言っているが、私は最近は腹立って、先祖は中国人だとはっきり言っている。もうやけくそだ。そういう気分なのだ。私は、大阪に住んでいるが、学校では差別はいけないと教わるが、差別は楽しい。初めて付き合った彼女のお母さんに付き合いはやめてほしいと、婉曲的に言われたことがある。でもなあ、ワシんとこは、鄭成功の親類やねんど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る