第15話:小さな恋の物語。
僕は17歳の頃、理容師を目指してたって書きましたけどその頃、僕には
本命の子がいたんです。
体調が芳しくなくて、学校の保健室で寝てたら、友人が休み時間様子を見に
来てくれて、その友達の後ろにいたのが彼女でした。
僕は理容師の卵、彼女はもうちゃんとした美容師。
彼女は歳上のお姉さんだったんです。
普通は女の子を見ても、あ、どうも〜で終わってしまうところなんですけど
その時は、松田聖子ちゃんじゃないですけどビビッときましたね。
おしっこチビるくらい。
でまあ、付き合うことになるんですけどね。
平日の昼間は僕は学校に通ってて、彼女は美容室でインターンしてた訳です。
だから会えるのは夜だけ。
でも、店が閉店してから、がんばって彼女に会いにいきましたね。
門限までのわずかな時間に愛を育んでました。
だから切ない恋でしたね。
そして、やがて一時の別れがやってきます。
なんと彼女は本社の美容室からスカウトされたんです。
いわゆるヘッドハンティングってのですかね。
本社で行われた美容師のコンテストに参加して、で一位を取ったんです。
優勝したんですよ。
でも、彼女は僕のために本社行きを諦めようとしました。
だけど、僕はそんなことで彼女の将来をつぶしたくなくて彼女に本社行きを
進めました。
一生会えない訳じゃない、会いたい時は僕が会いにいくからと。
さあ、彼女が本社に行くってことは、田舎にいる僕とは遠距離恋愛になって
しまった訳です。
問題はです、その当時は理容室と美容室の休みって曜日が違ってたんです。
お互いの休みが合わないんですよね。
だから僕は店が休みでも彼女に会いにいけません。
僕が理容師を止める以外は会う手立てはないんです。
で、どうしたかって言うと、僕は美容師をきっぱり辞めたんです。
これで都会に住む彼女に会いに行けるようになりました。
幾度となく彼女に会いに行きましたね、夢と希望を持って。
でもね、遠距離恋愛ってのはお互いの意思がよほど強くないと
続かないんです。
遠距離で生まれるのは嫉妬や猜疑心、気持ちのすれ違い・・・
彼女を信じられないならその恋は本物じゃない。
僕は彼女に会いに行くのをやめました。
お互い傷つけあって別れるのは嫌だったからです。
憎しみ合って別れるんじゃくて彼女のことが好きだって想いを残した
まま別れたかった。
だから僕は彼女のことが好きです、今でも好きなままでいます。
つづく。
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