シロップは何グラム入れるべきか、答えはいつだって16グラムだった。
秋坂ゆえ
【手紙#1】
響児へ
まずは「おめでとう!」と声を大にして言いたい。ついにおまえは解放された。
こんな、病んでて、おまえに迷惑をばかりの俺から、おまえは解放されて、自由になったんだ。独立記念日だよ。この手紙がおまえの手に届くのが何年の何日かは知らねーけど。
よくよく考えれば、俺ら結構付き合い長いよな。
俺らは中高一貫校で、俺が中三、おまえが中一の時に出会った。あの頃、俺は何故だか荒れてた。中学三年、全クラスの健康診断を、保健委員だった俺が実質ワンオペで担当してて、口は悪いし態度も悪い、最悪の『先輩』だったと思うよ、今はね(実際一年生半泣きだったし)。
で、そんな中、俺が「一年四組の委員長出て来いやぁ!」と田舎のヤンキー丸出しな感じで声を挙げると、後ろの方かぎょっとするほど、思わず凝視したくなるほど綺麗な顔立ちの男子生徒が俺の前にやって来て、
「俺です」
と、恐怖心なんて皆無ってツラで言うもんだから、俺は思わず、
「おまえ、美形な。名前教えろよ」
文字通りのナンパで知り合って、俺が高校に進学しても、校舎は同じ敷地内にあったから、特に高二の俺と中三のおまえはよくつるんでて、金貯めて一緒にシロップのライブとか行ってたよなぁ……。
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