高度に発達したテクノロジーは魔法と化し、神も悪魔もAIになった世界を美少女達とぶち壊す!

千代 煌(ちとせ ひかり)

第一章 魔法学園

プロローグ

午後の教室。教師の声だけが響く静寂な世界に、小さな寝息が漂っている。


 次の瞬間、教師の投げたチョークが居眠りをしている男子生徒の頭を直撃する。


「先生、暴力は良くないと思います!」


 男子生徒の隣の席に座っていた、ボーイッシュな美少女が教師に抗議した。


 今の時代にチョーク? もちろん教室に黒板は無い。教師がチョークを持っていた理由は、居眠りをする生徒を起こすためである。わざわざ取り寄せたらしい。


「むにゃ……痛いなぁ……。先生、ひどいです~」


 男子生徒がゆっくりと起き上がり、教師と目を合わせる。


「お目覚めかしら?」


 真っ赤なドレスとハイヒールを身に纏った、およそ場違いな装いの女教師が、新しいチョークを構えながら冷めた声で言った。隣の席で、愛らしい顔の美少女がほっぺを膨らませてプンプンと怒っている。


 その男子生徒とは俺のことだ。教師による退屈な講義(いわゆる睡眠魔法)のおかげで、深い眠りに落ちてしまった。これが俺たちのクラスの日常だ。


「一緒に帰ろ」


 隣の美少女が笑顔で話しかける。彼女は幼馴染の京子である。いつも明るく、ショートヘアのボーイッシュな彼女は非常に魅力的な女性だが、俺の心がときめく事はない。なぜなら、生まれた時からずっと一緒にいる真の幼馴染だからだ。


 俺にとって彼女はガールフレンドというより、兄弟のような存在。推し量ったかの如く、家も隣同士なのでいつも一緒に帰ることになる。


「ねえ、あのド派手な女教師、嫌な感じだよね。チョークなんてどこで仕入れてるのかしら。悔しいけどコントロールは抜群ね。ダーツでもやっているのかな?」


「クラスの隅でね、いつもあなたを睨んでいる子がいるのよ。かえでちゃんだっけ。女同士でもほとんど話をしないし、友達いないのかな。あんたに気があるのかもよ。(笑)」


 京子とは、ほぼ毎日一緒に登下校している。その間、何を話しているのかと言うと、取るに足らない日常の話ばかり。そんな詰まらない話を、京子はとても嬉しそうに笑顔で俺に語ってくる。京子以外に特に親しい女性はいないので、女の子は皆こうなのかと思っていた。


 日常の会話の中で、子供の頃の話はあまり多くない。なぜなら、俺の幼いころの記憶が断片的で、ハッキリ覚えていないことが多いからだ。おそらく、12歳の時に事故にあって頭を打った時の後遺症で、少し記憶が飛んでしまったのだと思う。そんな俺を気遣ってか、京子の話題はもっぱら最近学校で起こったことだ。


 俺たちが通っているのは魔法学校だが、ファンタジー物語に登場するような魔法ではない。「物を動かす」「火の玉を発射する」「攻撃を防ぐ」といったことは、実は体に埋め込まれた特殊な装置が行っている。通称「|魔導器(ディアデバイス)」と呼ばれているその装置は、|呪文(プロンプト)を与えることで、まるで魔法が発動されたかのように振舞うのだ。


 俺たちは、現代の「魔法使い」を目指して、日々勉強と訓練に励んでいる。


--- プロローグ END ---


ここまで読んでいただきありがとうございます!

本編も読んでいただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。


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