因果応報

勝利だギューちゃん

第1話

「私も、鉄道大好きなんだ」

「そうなんだ」


食いついた。


「実はね・・・」


お金を騙し取った。

所謂詐欺。

そう、犯罪行為。


私は、美貌と豊富な知識量を生かして、多くの人から金銭をせびっている。

人間、共通の趣味の人の前では、どうしても無防備になる。

そこをつけこんだ。


そのために私は博識になった。


名前はそこそこ有名人。

顔は隠しているけどね。


「えっ、あなたもオリックスファンだったの」

「えっ、君も?最近はオリ姫っているけど」

「私は元祖よ」

「僕は、近鉄時代からのファンなんだ」


食いついた。あと少し。

涙をさそって、お金をせびろう。

騙されるほうが悪いのよ。


「実は、私の父も、近鉄時代からのファンなんだけど、最近病気で手術台がかかって」

「うん」

「熱狂的なファンなの?お父さん」

「もちろん。死ぬ前にまだ、バッファローズの優勝を見たいって」


その瞬間、目の前の男の表情が険しくなる。


「君は例の詐欺師だな」

「どうして、ひどいこといの?」

「君は、オリックスファンではない。君のお父さんも近鉄時代からのファンが大嘘だ」

「いいがかりよ。ひどすぎるわ」

涙を誘う。


「バッファローズでなく、バファローズだ。ちいさいツはいらない」

「えっ?」

「熱狂的なファンなら、絶対に間違えないことだ」


うかつだった。

まあいい。開き直ろう」


「そうよ。でも騙されるほうが悪いのよ。私は悪くない」

「今の君の考え方なら、捕まるほうが悪いとなるな」


彼は警察手帳を見せてきた。


「えっ、まさかとおもいはめてみた。案の定だ」

「はめるって、ひどすぎない?」

「どっちがひどい。それに、俺だけではないぞ。ここにいるのは」


かつて、私がお金を騙し取った人たちが、全員揃っていた。


私は騙されたのだ。

これも、因果応報か。

悪いことはできないね。

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因果応報 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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