第9話  成瀬あかりに拍手喝采

 今年の本屋大賞の小説が、中二の女の子が主人公だと知って、私の千紗ちゃんも中学二年生だと、慌てて本屋に走りました。

 タイトルは、『成瀬は天下を取りに行く』。まず、タイトルがいい。そして、表紙の女の子のイラストがいい。表紙を見ただけで、魅力的な女の子の話だとわかる。イラストレーターさん、勝利!


 さて、無事に本を手に入れた私は、家まで我慢できずに、バス停で並びながら本を開きました。どれどれ、どんな女の子が主人公なの? 表紙の絵に負けてないかな。

 私自身、中学生の女の子の話を書いているっていうのもあって、いささか意地悪な気持ちで、厳しめの心で読み始めたのですが、わずか1ページで陥落しました。


 主人公の成瀬あかりが、もう大好き。いわゆるギフテッドってやつで、何をやっても、一人飛び抜けて優秀。故に、幼い頃はまだしも、成長するにつれ、妬みやそねみもあって、どん孤立してゆく。

 

 成瀬は、少し極端なくらい感情を表に出さない性格だったりするので、はた目にはそれを淡々と受け入れて、孤高の道を突き進んでゆくように見えます。でも、内心は傷ついたりしていると思います。根は優しい性格なので。


 とはいえ、色々あっても、自己憐憫に浸って立ち止まったりせず、大きく腕を振ってぐんぐん進む成瀬。その道が、明るくてちょっとトンチキで、そこが最高!


 実は、彼女には一人、島崎みゆきという名の幼馴染みがいて、まずは彼女の視点で、成瀬が語られてゆくのだけれど、島崎の語る成瀬が魅力的、ということは、島崎が成瀬をどう思っているのか、こちらが自然と理解出来る仕組みになっている。

 そしてね。自分の事を地味で凡人だと思っている島崎も、なかなかトンチキで魅力的なのです。トンチキなだけではありません。物事の真価がわかる素敵な女の子なのです。


 『成瀬は天下を取りに行く』では、成瀬が高校三年生になるところまで、描かれているのですが、最終話で、思いがけなくほろっとしてしまいました。

 とはいえ、この本を電車の中で読むときは、注意が必要ですよ。私などは、何度も吹き出して、恥ずかしい思いをしましたから。


 さて、『成瀬は天下を取りに行く』を読み終えた私は、今晩からすぐに『成瀬は信じた道をいく』を読むつもりです。


 成瀬、まだ読んでないけど、たてのも信じた道をいくよ! 

 約束する!

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