年下に相手にされないヤンデレお姉さん
また長々と体育教師による選抜リレーの説明がされる。
まぁ要約すると、この選抜リレーは一人グラウンドの半周だから二百メートル走ることになり、しかもなぜか同学年同士ではなく、くじ引きで決まったクラスと同時に走る。
そして事前にもうそのくじ引きは代表者同士で引かれていたみたいで、当然俺たちは、凛華率いる一年Aクラスと一緒に走ることとなった。
「あーまた一年Aクラスが相手かー。大繩の時も圧勝だったし、またわたしたちが勝っちゃうよー」
と、わざとらしく桐乃さんがここにいる全員の耳に入るぐらい大きな声で不満を漏らす。
...自分で一年Aクラスと当たるように細工しておいて、何言ってるんだか。
「清人、お前も選抜リレーにでるのか」
と、そんな桐乃さんの発言を無視し、凛華が俺に話しかけてくる。
「ま、まぁ一応は」
「そうか。わたしは誇らしいぞ。部活に参加していないお前がクラスの代表に選ばれるなんてな」
まぁ俺の場合は菊島さんからの推薦 (強制)なんですけどね。
「あれ~?わたしたちと敵対しているクラスの子がなんでわたしの大切な清人君に話しかけているのかなぁ~」
当然、俺と桐乃さんが堂々と話しているのを、桐乃さんが黙って見過ごすはずがない。
「ねぇ凛華ちゃん。今わたしたちは大事な作戦立てているの。だから、敵クラスのきみがはいりこまなでもら」
「黙ってろ」
凛華が心底冷めた目で桐乃さんを一瞥する。
あーこれは多分凛華としては桐乃さんを相手にする気はないのか。
「なに?黙ってろ?仮にも先輩にむかってそんな」
「それと清人、今日は寄り道せずに家に帰ってこい。話がある」
...うん、まぁそう言われるのは百も承知。
さっきの綱引きのときもずっと俺のことを怒りを必死に沈めるように見つめてきたし。
それよりも、この完全に桐乃さんを無視するムーブ、めっちゃかっこいいな。
「じゃあ、また後でな」
と、凛華は自分のクラスの方へと戻っていった。
...完全に凛華、俺たちのクラスが抱えている爆弾に火をつけちゃったよ。
「...また一段と機に食わない性格になっちゃったなぁ~」
俺の背後で禍々しい雰囲気を漂わせている桐乃さんが、手に持っていたバトンを文字通り"曲げた"
...もう絶対負けられへんやん。
我がクラスの緊張が高まる中、いよいよ体育祭最後の種目、選抜リレーが始まる。
全学年十八クラスあるため、六クラスが一斉に走り、それを参加行う。
どうやら俺たちは最後の三回目らしい。
集合場所であるテントから抜け出すと、もう一回目に走る六クラスがそれぞれのスタートラインに立っており、それぞれのクラスメイトが近くまで応援に来ている。
対して、我がクラスメイト達はというと
「「「「「「「「「「「「......」」」」」」」」」」」」
もう全員が陣地のテントの下で顔をタオルで覆っていて、びくともしない。
そんな様子を見かねた桐乃さんが動き出す。
「みんな寝てるのかなぁーーーーーー!!!」
いつの間にか、陣地の前に移動し、大声を上げて全員を叩き起こす。
もちろん独裁者である桐乃さんの声に反応しない物はおらず、全員が慌ててタオルを床に投げ飛び起きる。
「今何していたのかな~。クラスの代表者として佳林ちゃん答えて」
またもや菊島さんが餌食に...
「え、えーっと、みんなの応援を活発化させるために精神統一していました」
おお!即興で考えた言い訳としてはなかなかうまいやんけ。
でも俺だったらリアリティを持たせるために、"精神統一の一環としてペニスエクササイズをしていました"って言うけどな。
「へぇ~精神統一してたんだー。なら、わたしたちが走っている最中はみんなの声援が本当にまじかで聞こえるぐらいに思ってくれていいんだね」
「も、もちろんだよ」
菊島さんが若干顔を引きずらせながらそう答える。
「佳林ちゃんがそう言うならわたしも期待しちゃうなぁ~。じゃあ、みんなの声援もこの選抜リレーの結果を左右するっていうことでいいんだよね」
「そ、それは」
「え?もしかして責任を背負う覚悟がないの?覚悟がないのに声援を送るための精神統一してたの?」
桐乃さんが一気にまくしたてる。
「そ、そうだね。わたしたちの声援で結果は左右されるよね」
もう体が震えているやん。
DVされ過ぎて彼女/彼氏の声を聴くだけで体が震える現象と同じやん。
「じゃあ、わたしたちが一位を取れるような声援を送ってね。もし走っている最中に聞こえなかったら...ちょっと体育祭が終わってから全員で"打ち上げ"しようか」
絶対普通の意味の打ち上げとは違うな...
「それじゃあわたしたちももう行くから。しっかりと皆にも責任があるって言うことを自覚しながら応援してね」
しっかりと脅し終え、クラスの陣地を離れる。
...もういっそのことわざと転ぼっかな。
そして俺と桐乃さんだけで"打ち上げ"//
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