一部以外は完璧な体系

「今日も目覚ましヤンデレボイスよりも先に目覚めちゃったな...」


夏休み初日。

今日は朝から凛華とデートするんだった。


ちなみにどこに行くか俺は知らされていない。


昨日は凛華に俺の評定が見られて、予定を立てるどころじゃなかった。

夕食の時はいつもの鞭モードに戻ってたし。


でもなぜか夕食を食べ終わったとき


"明日は絶対に行くから朝早く起きて準備しておけ"


と、念を押された。


どこに行くのか詳細は聞かされていない。


「凛華が行きそうなところかー」


...普通に恋人が行くデートスポットなどは多分ないな。

それを排除すると...


「なんだかとてつもなくいやな予感がする」


ともあれ、凛華が起きているかどうか確認しないことには始まらない。


パッと見た感じ、一回の電気がついていないので、まだリビングには降りていないことが分かる。


「凛華、入るぞ~」


ノックもせず、凛華の部屋のドアを開ける。


まぁ凛華ならもうさすがに起きてるだろ。

ドアノブの鍵も開いていた...し...


「.....」


「......」


俺とブラジャー姿の凛華の目と目が合う。


てかそれブラジャーの意味ある?

だってそもそも”土台”が小さいんだし…


でも、そこ以外は完璧だな。

体全体の肌も綺麗だし、肉付きも痩せているというわけではなく、しっかりと筋肉が適度についているのが伝わる。


お互いにして固まったのは、秒に換算すると、三秒程度だ。


「か、勝手に入ってくなぁぁぁ!出て行け!!!!」


そう凛華に怒鳴られ、急いで退散する。


何だよ、鍵が開いていたんだから入ってもいいと思うだろ。


ただ、凛華のブラジャー姿を見てもあまり興奮しなかった。

冷静に体全体を観察して、それを言葉に表現することもできたし。

もうアダルトビデオで女性の裸を見過ぎたからかもしれないが、やっぱり胸がちょっと平べったいんだよなー。

まぁ、興奮はしていないと言いつつも、俺のズボンはテントを張っているが。


そこからリビングで俺は正座させられ、ありがたい説教を受けた。

終始凛華は顔を赤くしながらマシンガントークのように口を動かしてた。

いや、もとはと言えば鍵をかけなかったのがいけないと思うのだが。


てっきり、こんだけ怒っているのだから今日のデートは中止かなと思ったのが

凛華が怒気を放ちながらも


"早くしろ"


と、せかしてくるため、行くことは決定しているようだ。


だが、罰として今日の朝食はバナナ一本となった。

凛華曰く、もらえるだけありがたく思えとのことだった。


「清人、持ち物はそれだけで十分か」


「別に一泊するだけだろ?なら身軽でもいいだろ」


持ち物はいつもいつも俺がボッチで映画などに行くときに持っていく小さなカバン一つ。


「ちょっと、どこ行くの」


持ち物の確認をし、二人で玄関から出て行こうとしたとき、嫌なタイミングで歩歌が二階から降りてきた。


「今から凛華とふたりでどこか」


「お前には関係ないだろ」


俺が説明しようとすると、凛華が心底冷めたかのような口調で言う。


「あ?」


今の凛華の態度にムカついたのか、歩歌が喧嘩腰になる。


「別に、私と清人がどこに行こうがお前には関係ないだろと言っている」


「は?なんでアンタそんな喧嘩腰なの?」


いやお前もだろ。


「それに兄さんの首を絞めたやつがどの面下げて兄さんと二人で出かけようとしてるの?」


「それもお前に話す義理はない。お前はもう私のことを姉として見ていないのろう?だったら私も妹ではない他人にいちいち説明する義理はない」


「今度は逆ギレ?あたしがアンタがやったことを許さないからってなに逆ギレしてんの?」


...なんで俺の周りの女子たちはこうもすぐに臨戦態勢に入る?


「ふ、二人ともとりあえず落ち着けって」


俺が二人の仲介に入る。


「...そうだな。清人の言う通り、こんな他人と喧嘩している場合じゃないな」


「それはこっちのセリフよ。いい?覚えておきなさい。アンタが兄さんと二人っきりで出かけたとしても、アンタにはその資格がないんだってことを。

そして虚無感に溺れればいいわ」


そう言い残し、機嫌が悪そうに歩歌が二階に上がる。


...これはそろそろ姉妹仲も末期やな。



「すまない清人。無駄な時間を過ごしてしまった。さぁ、行こう」


二人で玄関に出る。


そこからてっきり駅方面に進む思ったのだが、凛華はそれとは真逆の方向に進む。


「あれ?凛華、電車に乗らないのか?」


「その必要はない。歩いても十分にたどり着くからな」


歩いてたどり着く...?


「はっ!」


それってまさかラブ

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