ずっと前から好きだった
「川原、好きです! 付き合ってください!」
今どき珍しく真っ直ぐな言葉で告白をしてくる彼は真剣な顔をしている。
でも、私は知っている。昨日クラスの男子と罰ゲームの話をしていたことを。
「罰ゲームだよね」
「えっ……」
「好きだなんて言わないでよ」
「な、んで」
「好きでもないのに好きって言われたくない」
気持ちのない『好き』ほど虚しい言葉はない。
私は彼に背を向け歩き出す。
「好きだ!」
「ちょっと、言わないでって」
言わないでと言ったそばから好きだと言われ腹立たしく感じた。
私は振り返り睨むように彼を見る。
彼はやはり真剣な顔をしていた。
「好きだよ。ずっと好きだった。それに罰ゲームじゃないよ。俺が勝ったんだ」
「勝った?」
「もう一人、川原のことが好きなやつがいてそいつとどっちが先に告白するか揉めてたんだ。それでゲームで決めようって。本当はそんなことで決めるべきじゃなかったのかもしれないけど、どうしても俺が先に告白したかった」
「そう、なんだ……」
「俺、川原に好きになってもらいたい。好きになってもらえるように頑張るから。だから、」
「好きだよ」
「えっ?」
「私も好きだよ」
きっと、私の方がずっと前から好きだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます