幕間 アリア

 ユーキは別の世界からやってきた召喚者。彼の元居た世界はあたしには理解しづらいことが多いが、疑問があるとユーキは時間をかけてでもゆっくりかみ砕いて説明してくれる。共にいる時間が長いのは恋人の特権。



 彼の元居た世界はとても平和な世界で、彼自身、争いごとには遭遇したことがないらしい。もちろん、あたしたちの住む街でも平和に暮らせる場所は多いが、それでも比べ物にならないらしい。


 元居た世界の話をする彼の表情はころころと変わってたのしい。時には悲しそうな顔を見せたり辛そうな顔をするが、彼の知らない一面を見られたようで嬉しいし、抱きしめてあげたくなるし、抱きしめてあげる。


 あたしが素直な気持ちをぶつけると、彼は懐かしい感じがして嬉しいと、恋人になる前はよく言っていた。そして恋人になった今は、昔から知っているような感じがして嬉しいと言ってくれる。彼には昔から知っていて長い時間を過ごし、おそらくは恋人であっただろう女性の影を感じた。ただ、不思議と未練は感じられなかった。



 女神様の話を思い出す。彼の望みはあたしたちの処女性を守ることだと言っていた。ルシャの言葉にも心を動かされていた。たぶん、彼の元居た世界の一夫一妻の考え方に沿ったものなのだろうと思う。一生にただ一人の相手を想う愛情深いメジロのように、そして未来に待つ番へ送り届けるために、あたしたちを大事にしたいのではないだろうか。


 彼の想いを大事にしてあげたい。体を交えるだけが彼の望みではない。ただ傍にいて、手を繋いで並び歩き、遅くまで語り合い笑い合い、添い寝するだけの恋人という関係を彼と共に楽しみたい。


 十五才で成人すれば結婚して子を生すのがこの世界の男女だが、彼の世界のただ傍にいるだけの『恋人』というものを今は楽しみたい。




 でも! ルシャとは何をしているのか気になるので、全部見ておきたいの!







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