第13話 闇

 ノース城は、年中雪が降っている豪雪地帯に立っており、移動中はずっと吹雪いていた、その中崖の上にそびえ立つノース城に向かう。

 僕は内心、サウスト校の方が気候的には楽そうだなと思ってしまった。

 僕たちが乗ったのは、ハリー⚪︎ッターみたいに湖の上に浮かぶ小舟ではなく。一両60人乗りの5両編成の小型列車である、絶対に外見と積載量が合っていない気がするが、能力で解決しているということにする。

 朝10時にCentral stationを発車したというのに、着けていた飛鳥製[めちゃ丈夫(?)]腕時計は既に6時30分を指していた。

 僕たち生徒は、ここがどこかは正確な地形、地理は知らされておらず日本かどうかも知らされていない。

 と、ここで近藤重道から新入生に向けて声が掛かった。

 各車列はビデオで中継されており、まるで隣にいるかのように聞こえるし話せる。

「もうすぐノース城だ後10分程で着く、そこからは俺ではなくとある先生にバトンを渡す

 俺たちの護衛もここまでだ、ノースの門を潜った者たちよ先輩から一言だけ、生き残る術を教えよう。

 迷えば命を失う生きたければ手段を選ぶな、慈悲をする暇はない

 そんな暇は死んだ時だ

 俺からは以上だ、俺以上に多分ノースで1番ノースの闇を生きた冨田からも一言もらおう」

「誰が、闇の人間だコラ……まぁちゃんと一言、言っておこう

 ノースの闇は君たちの思ってるよりも残酷で非常で儚い、軽い気持ちで足を踏み入れたが最後。後戻りは出来ないぞ、ここに入らなかった手が綺麗な奴が1人程いるが…私達の代ではこいつしかいないし、ここ4年ではこいつ以外いない」

 黒と赤のネクタイに濃紺のスカートとジャケットに身を包んだ冨田影院と、対照的な色の白と薄い青で統一した制服に、包んでいる近藤重道ではより一層重く聞こえただろう。

 少なくとも僕は再度この学校が狂っている、そしてそれが常識だと言うこと再認識させられた。ここにいる300人は厳しい試験を突破した、万人の中から選び抜かれた猛者、こんなことで動じる素振りすらなかった。

 あの宗淵でさえ腹を括って……いなかった細剣の握り手の部分を、力一杯に握り足が震えているのを誤魔化そうとしていた、やっぱり宗淵の気の弱さが出ている、どうやって合格をもぎとったんだ?

 俊堂達には、まだどうしてここに来たのかを聞いていないが、目的も無く命を賭けるような自殺行為はしないだろう。

 ここにいる300人が、各々野望を抱いて勝手に散っていく。

「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」

 車内に沈黙が覆う、聞こえるのは外から聞こえる列車が風を切る音のみ。

「先輩方……冨田先輩はどれだけその手を汚したんすか?」

 僕たちがいた車両から、ある男が声を上げた。

 グレーのネクタイに、紺のズボンにジャケット腰には少し長い長剣を刺している。

 赤髪に長方形のレンズの眼鏡を掛けている。雰囲気は300人の中でもずば抜けてすごい。

「君は……首席の

 工藤大和くどうやまと

 くんか良い質問だ、私がこの手を汚した人数はたった6人だ」

 所々で息を呑む音が聞こえた。それも無理はないつい先日までは一般人中学生だったのだ試験で殺害したとはいえ、実際に殺した訳ではない殺しを経験は、なら経験する物ではない。

 僕を含め100名に満たない数は、全く動じていなかった。

 火龍亮太、畠山俊堂、桃屋蒼、百里兄妹も動じていなかった、宗淵でさえだ…いやなんでさっきは怯えたのにこれは動じないの?

 僕の宗淵に対する謎が深まったが、この100名に満たないもの達は、という事なのだ。

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