第74話 土星?…

 話を戻します。


 私は土星までの距離約200万キロの位置に到達した。


 でも…


 土星?、土星よね?


 リングが…情報と違う、縞模様が変にカラフルで赤、黄色、緑に、青?と、虹色みたいな感じに輝いてる?


 ワタシは最大望遠で、リングを観察する。すると…


 うわっ、マジかー、あの密集しているの??


 宇宙船がとんでもない数で土星のリング内にひしめき合っていた。近傍での観測のために、D1の指示で、SS1、SS2が即座に飛び立つ。護衛に4機のストライクシンデンも発艦。


 私は土星へ近づくのを一旦止め、遠巻きに周回し、衛星タイタンと土星のラグランジュ点に侵入した。


 アレは一体なに?


 SS1、2には慎重に接近せよとコードを送る。


 データ中継の為にゲッコウも発艦、万が一に備え、ユキカゼも分離した。


 画像データがSSから逐次送られて来る、それをメイとディーコン、ワタシで分析する。


 悍ましいほどに、宇宙船が集まっている。それも、見たこともない宇宙船から見慣れたものまで。そのほとんどが、例のジャガ級やカボ級、スイカ級は…見当たらない。それ以外には、影の様な黒い板チョコみたいなモノとか、トンガリ、ミジンコに似た宇宙船、更にはそれ宇宙船なのか?、というものまで、多種多様な形の物体が、本来の土星のリングを構成している岩石や氷の天体と混ざって、死んだように漂っていた。


 画像処理検知からメイが面積試算した。…するとその数約120万体、種類はざっと層別すると、おおよそ520種類。


 ちょっと目眩がして来た。


 それと虹色に輝いているのは、宇宙船群ではなく、土星の輪の表層部、裏表でスペクトル偏光を起こしている層がある、土星側にスペクトル波長が引き伸ばされ赤く、外側へは短波長になり逆に青くなっている。何かのフィールド現象みたい……


 フィールド?


 ワタシはリングへ接近して行くSS1とSS2に、退避コードを送る、しかし一歩遅かった!、SS1とSS2が突然虹の中へと吸い込まれてしまった


 SS1、2からの通信が途絶する。


 くっ!、やられた!!


 D1が、ゲッコウに下がる様に指示した。


 SS1、2にコードを送っても返信が来ない。ただSS1から識別ビーコンだけが発信されているのを確認した。


 なぜSS1だけビーコン?


 D1が、ユキカゼの突入を具申して来たけど、間髪入れずに却下した。

 仲間を思う気持ちがAIにも生まれつつある。「慎重に」と答えてあげると、具申取り消しのコードが返ってきた。


 うん、よしよし


 とはいえ、どうしたものか、明らかに土星のリングがおかしい。それに、アレはまるで伝説にある船の墓場だわ。


 ワタシは地球のサルガッソーを思い出した。


 サルガッソー海とか領域とか呼ばれ、風が少なく、海流が渦巻いている海域であり、帆船がその海域に入ると、脱出できなくなるという場所。地球の海は干上がってしまってもはやそんな場所はないけれど、実際に北米フロリダ沖にあった海域で、バミューダートライアングルの中にあったとされる。ちなみにバミューダートライアングルは、航空機や船が沢山行方不明になった場所としても記録されてる。


 猿鰹じゃないわよ、サルガッソーね

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