第54話 銀色円盤…
私達は遂に木星圏まで来た。
なんといいますか、大きな木星がちっさく見えるほどに、目の前にあるダイソンスフィア外郭のデカいこと、デカいこと。
視界に収まりません。
確かにこうして見ると、建造途中で放棄したって感じに見える、完成2割程度?、スカスカ。
私は最外層へと入って行く
失礼しまーす。
第一層を通り抜け、そこで停止。今いる最外装と、次の中間層の間だけでも、80万キロはある。月と地球の距離の倍以上離れてる。
ダイソン第一層の内側の構造物の隙間に入り込み、ステルスモードで身を隠した。
ここで修理が完了した主機を、再起動します。
船内が慌ただしくなる、メンテロボ達が走り回り、万が一に備え持ち場へと向かう。
主機、反転重力炉、炉殻、炉内正常、仙術式、制御系問題なし
再起動シークエンスへ移行
補機、エーテル加圧炉、全力運転
エーテル流動最大値へ…
エーテルによる主機炉内加圧が始まり
炉内縮退が始まると同時に、仙術循環式が自動発動する。
…そして主機が再び目覚める。
ワタシの心臓が蘇る。
ああ、落ち着く。
心のモヤモヤが洗い流されるこの感じ。そっか、私不安だったんだわ、いつまた襲ってくるかも知れない異星人に対して、内心ビクビクしてた。
でももう大丈夫、全てを取り戻した。
メイ、テイラー、ディーコン、メンテロボット達、戦闘機隊、そして新たな仲間ユキカゼ、皆ありがとう。
この先、無様な姿は晒さないと、ここに宣言します。
すると皆が一斉に拍手のコードを送って来た。
拍手のコードって…web会議ですか?
はは、ありがと。
…
さて、ここまで忍んでやって来たけど、周囲に動きなし、メインベルトの異星人も追いかけてこない。
30万キロ圏内の動生体反応も今のところ感じない。近くにはダイソン外殻しかないんだけど、建築作業をしている気配もない。
衛星に何か存在があるとすれば、4衛星の公転軌道まで近づく必要性があるわね。
…でも
銀色円盤はどこから来たのか、ユキカゼの航海データでは、突然後ろに出現したとなってる。姿を消せるのか、瞬間移動できるのか、
敵意があるなら厄介な相手になるのは間違いない。
と、言うことで私達は、しばしここで、木星周辺の観測を行う事にした。観測するのは4大衛星を主とし、あと木星。木星側にも爆縮のための手を加えてあると予測しているけど、今のところなにも見つからない。
木星の自転周期は9時間と55分、あの大きさでメチャクチャ早い、まぁ大きいから早いんだけどね。
ガリレオ4大衛星の公転周期は、現在ほぼ48時間、イオに合わせたにしても、元より遅く回ってる。公転軌道も本来より木星へ5万キロほど寄っているのがわかったわ。そうなると普通は加速すると思うのだけど…ブレーキが掛かってる?
木星大気層影響を受けるにはまだ程遠い、落下してるわけでもないわ。
…まぁ全てが普通の状況じゃないしね、異星人様が木星で何かしようと企んだ所で、私の境遇は変わらない。しばし傍観と……
…いた、見つけた、銀色の「謎の円盤UFO」
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