第11話 【帰還】
俺たちは切り刻まれたゴブリンの耳を剥ぎ取りながらっている。
やはりミルとカレンは手際がいい、俺も見習わないとな、
「痛っ!」
手に傷みが走った。手を見てみると出血していた。
気を抜いているうちにナイフで手を切ってしまったらしい。
結構 血が出ているな
どうにかして止血しないと
((どうかしましたか?))
((いえっ なんでもないですよ))
俺は心配されたくなかったので手を隠した
((手を出してください))
((...はい))
しぶしぶ手を見せた。
((怪我してるじゃないですか
どうして隠したんですか?))
((いや...このくらいなんでもないですよ))
((菌が入ると危ないですよ 待っててください
カレンを呼んできますね))
何故 カレンを呼んでくるのだろう?
呼んでくるとはいっても近くでゴブリンを剥いでいる
((呼んできました。怪我をした所を見せてください))
俺の手にカレンが手をかざした
カレンの手に緑色の光が集まって、その光が俺の手に移動していく。
するとみるみるうちに傷口が治っていった。
((凄い...傷が治った。何をしたんですか?))
((これは回復魔法です。))
((...回復魔法))
((軽い傷なら治せるのでもし怪我をしたら
言ってくださいね。
まあ 私は魔力が使えないので治すのはカレンですけどね))
((ミルさんは魔力が使えないんですか?))
((はい ヒカルさんは使えるかもしれないですね。 いえ きっと使えるはずです))
((でも 僕は前の世界では魔法なんて使えませんでしたけど?))
そうすると彼女は青ざめた
((え? いや... そんな...
確かに魔法は存在しない世界に居たって
言ってた気が...))
すると彼女はカレンと話し始めた
もしかして魔法を使えないといけないのか?
でもミルも使えないって言ってるし...
どういう事なんだろう? かなり不安だ...
((...もしかしたらヒカルさんは魔力がない可能性があります。 ただそれは確定ではありません。))
((僕はどうすればいいですか?))
((カレンから魔法の使い方を教えてもらってください。ただそれにはヒカルさんがカレンと、
私を介さず意思疎通をする必要があります。
私の念話では内容を伝達するのに限界がありますからね。
なのでしばらくは勉強ですね。))
((分かりました。))
((今はゴブリンの耳を集めましょうか。))
そう言う彼女は焦っているように見えた。
しばらく耳を剥ぎ取っていた。
嫌な感覚だが、だいぶ慣れてきた気がする。
4体の耳を剥ぎ取った所で周りを見てみる
彼女達はもう終わったみたいだ
((そっちは何体でしたか?))
((僕は4体でした。))
((私が7体で カレンが10体だから...
21体ですね。 最初のゴブリンが12体だったので... 合計で33体です!))
((もう終わったんですか。思ったより早かったです。))
((えぇ 今回は運が良かったですね。
なかなか見つからず4時間以上かかってしまうこともあるんです。))
4時間もか...今回は1時間くらいで終わって良かった。
((では 帰りましょうか)
((はい))
集めた耳を一つの袋に入れて帰る事にした。
しばらくして町に着いた。
((依頼の報告はカレンに任せましょうか。
私達は夕飯の買い出しにでも行きましょう。
お金の使い方とかも知っておかないと
いけないですし...))
((はい))
((では さっそく行きましょうか。))
俺はカレンについて行った。
買い出しの最中に色々教えて貰った。
まず この世界には
聖貨 大金貨 小金貨 大銀貨
小銀貨 大銅貨 小銅貨
という7種類の貨幣が存在している。
価値と前の世界に換算して見るとだいたい
小銅貨 10円 大銅貨100円
小銀貨1000円 大銀貨1万円
小金貨10万円 金貨100万円
聖貨 1000万円
くらいの価値があるようだ
聖貨とは特殊は魔力を帯びている金属から
作られる貨幣のことらしい
その魔力の影響で美しく 鮮やかに輝いているそうだ。
彼女は一度もお目にかかったことが無いと言っていた。
相場のことも教えてくれた。
一日当たり食費は大銅貨8枚くらいらしい
日本円で800円だ でも今回は小銀貨を出していた。
いつもより多く買ったのか?
...俺だ 俺の分を買ったせいでいつもより出費が多くなっているのだ。
正直 しばらくは彼女達に頼らなければ生きていけなさようだ。 だから何とかして自分の
出費くらいは自分で稼がなければ...
そう思っているとカレンと合流した。
((どうやらギルドへの報告が終わったので、
こっちに向かったそうです。
なので帰りましょうか 3人で))
心なしかミルとカレンは嬉しそうにしているように見えた。
程なくして家に到着した。
((では夕飯の支度をするので部屋でくつろいでいてください。))
((そんな 悪いですよ 手伝います。手伝わせてください。))
((ふふっ そうですか。 ではこの野菜を切っていただけると助かります。))
((まかせてください))
この野菜は人参に似ているな
いちょう切りにするか。
((へぇ かなり手馴れていますね。
それに変わった切り方をしていますね。))
((元の世界では 野菜とか料理とかによって
それにあった切り方をするんですよ))
((そうなんですか。私は適当に切っていました。 考えるとしてもサイズを大きくするか小さくするかとかしか考えてなかったです。
ヒカルさんの世界は食に関して大きなこだわりがあったんですね。))
((まあ そうですね))
((こっちの世界では---))
なんて 他愛もない会話をしていると夕飯が
出来上がった。
料理をミルと一緒にテーブルへと運ぶ
((カレンを呼びますね。))
彼女は少し大きな声を出してカレンを呼んだ
するとすぐにカレンが自室から出てきた。
そして3人で椅子に座って。料理を食べた
その最中ミルはカレンと話したり
俺と念話をしたりなどいつも以上に楽しそうにしていた。
食事が終わると彼女が言った
((私 カレン以外の人とこうやって食事を囲んだことがあんまりなくて、なのでヒカルさんが
居てくれてとても楽しかったです。))
普段の彼女があまり言わなそうなことを言っている
((僕も前の世界では色々あって 誰かと食事なんてあまりした事がなかったので
凄く楽しかったですよ。))
ちょっと照れくさいな
((...))
しばらく沈黙が続いた。
え? なんで何も返してくれないの?
ちょっとセリフが臭すぎたのか?
そんなことなかったと思うんだけどなぁ
((えっと 僕お皿片付けますね。))
((え? あ いえ 私がやりますよ))
((でも...))
((慣れないことをすると心身ともに疲れます
なので明日に備えて今日は休んでください。))
((...分かりました ありがとうございます。))
俺は自分の部屋に戻った。
彼女の言うとうり俺は疲れていたのかもしれない、俺はベットに横になると 一瞬で眠りについた...
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