エピローグ

誰もいない真っ白な空間で

幸せに涙あふれてきた


四角く切り取られた空は

雲たちの通り道


一枚のガラスを隔てて 雲と私


ずっと

自由である雲が羨ましかった

縛られた自分が憎かった


でもね、

やっと


ひとつだけ雲に無いもの

ひとつだけ私に有るもの


見つけた



それはこの

暖かい〝キモチ〟


誰かのために生きる

誰かのことを想う


手を伸ばしても触れられないけれど

確かにここにある


それはちょうどこの雲のように


・・・・・・雲と違うのは


決して消えないということだ


私のカラダは

すぐに消えてしまう


誰だって

何だって

実態のあるものなんて全部


いつかは消えてしまう


でも

触れられない

実態がないからこそ

この〝キモチ″は消えない



どこまでも続く空の下


私は〝キモチ〟という

永遠を手に入れた

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