異世界でオタクに優しいギャルが傍に居てくれた

タヌキング

初めての共同作業

僕の名前は岩村 大輝(いわむら たいき)。眼鏡で陰キャの冴えない男子校高校生のアニメオタクだ。

そんな僕は車の玉つき事故に巻き込まれた拍子に異世界転移してしまった。

これからどうなってしまうのだろう?

青い空、周りは木々に囲まれた何も無い場所。ここは森の広場か何かだろうか?ここが異世界だと思える理由は、空を見たことも無いカラフルな鳥が飛んでいるし、時折ガオオオオオオォオオ‼という聞いたことも無い轟音の鳴き声も聞こえからであろうか?

一体これからどうすれば良いんだろう。


“ガサガサ”


突然、草むらから音がして身構える僕。学生服とシャーペンぐらいしか持ってない今の状況でモンスターなんか出てきたら一発アウトである。

しかし、草むらから飛び出して来たのは、一匹ではなく、一人のギャルだった。


「あっ、岩ちゃんじゃん。超ウケるんだけど♪」


「き、岸本さん。」


彼女の名前は岸本 ギャル子さん。肌は白いが、金髪の長い髪、派手なメイク、派手な付け爪、学校指定の制服でありながら胸元を大胆に開けて、パンツが見せそうなぐらいミニスカートにしている、一般に言う所の白ギャルである。

ギャル子さんは派手なナリをしているが、誰とでも分け隔てなく接する良い人であり、オタクの僕にも「ねぇねぇラノベって面白い?」などと言って、ニコニコ話し掛けてくれる、オタクに優しいギャルなのである。


「ねぇ、岩ちゃん。ここ何処なのか知ってる?なんだか鬼怖いんだけど。」


と言いつつも全然怖そうな様子もなく、周囲をスマホで撮りまくるギャル子さん。異世界に来てもギャルは余裕である。


「うわっ、てか県外じゃん。マジでどうする?とりま辺りを探索する?」


「は、はい。」


ここが異世界だとは分かっているのだけど、証拠がないままギャル子さんに説明するのは難しいと思い、僕はとりあえずギャル子さんと一緒に辺りを探索することにした。


「うわー、草ばっか、アタシ肌弱い系なんですけどー。」


「ご、ごめんね。」


「いやいや、岩ちゃんが謝ることじゃ無いし♪なんかウケる♪」


確かに僕が謝ることじゃ無いのかもしれないけど、僕には普段の生活から謝り癖が付いてしまっている。まぁ、ギャル子さんがウケているなら、まぁ良いか。


“ズブッ”


あれ右足が地面に沈んで行く?


”ズブズブッ”


左足も?


“ズブズブズブッ”


これはもしかして、いやもしかしなくても、底なし沼かもしれない。


「ちょっ、それ危ないんじゃね⁉あーしの手を掴んで‼」


慌てながらも僕に手を伸ばしてくれるギャル子さん。しかしこれでは彼女まで底なし沼に・・・。


「早く掴むし‼」


僕の考えなんてお構いなしに、ギャル子さんは僕の手をガッと掴んで力いっぱい引っ張り上げてくれた。それで何とか僕は沼から脱出したんだけど、その拍子にギャル子さんを巻き込んで転倒。彼女に覆いかぶさる形になってしまった。


「いたたっ・・・ごめんギャル子さん。」


「う、うん、大丈夫。でも右手を早く退けて欲しいかな。」


右手?そういえば何か柔らかい物を掴んでいる様な。


“ふにふにっ”


「あんっ‼」


悶えるギャル子さんの顔を見て、まさかとは思い僕は自分の右手の方を見ると、僕の右手は、しっかりとギャル子さんの胸を鷲掴みしており、所謂ラッキースケベを発動させてしまっていた。


「ご、ごめん‼」


パッと手を放して、立ち上がってギャル子さんから離れる僕。まさかこんな冴えない僕が、どこぞのハーレム主人公の如くラッキースケベを発動させるとは思いもしなかった。


「い、いや、別に良いんだけどさ。流石に私も女だから胸とか揉まれたら恥ずかしいし。」


顔を赤らめて年相応に恥ずかしがるギャル子さん。普通ならビンタされてもおかしくない状況なのだけど、オタクに優しいギャル子さんはこんな時でも僕に優しく接してくれた。







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