第3章65話:ダンジョン

<アンリ視点>


マリコ村を出た俺は、3日ほど歩き続けた。


そして。


目的地に到達する。


神殿国・コルデリオ平原と呼ばれる地域に存在する迷宮。


――――【コルデリオダンジョン】である。


平原のすみ


そびえたつ岩壁の足元に、ダンジョンの扉がある。


俺はその扉の前に立って、つぶやく。


「さっさと攻略するか」


そして扉を両手で押し開く。


現れたのは下に続く階段。


俺は、階段を下りていく。


階段が終わると、そこからは迷宮であった。


正面は通路。


天井の高さは10メートルほど。


通路の横幅は15メートルほどである。


壁は迷宮などではよくある、レンガ壁であった。


ひんやりとした空気がただよっている。


俺は歩き出す。


歩く。


歩く。


歩く。


5分ほど経って、魔物が現れはじめた。


ミノタウロスである。


斧を持っている。


「……」


とりあえず念力格闘術による蹴りで、瞬殺しゅんさつした。


本来ミノタウロス系の魔物は、中堅以上の魔物ではあるが、俺の相手にはならない。


……その後、現れる魔物を次々と蹴散らしていく。



クラゲ型のモンスターである迷宮クラゲ、


赤い鎧に身を包んだ首なしの騎士・アイアンラースト、


闇色やみいろの翼が生えた馬・デドリホース、



……などなど。


もちろん全ての敵が瞬殺である。


誰が見ているわけでもないので、念力格闘術ではなく、普通にサイコキネシスを使って殺すこともある。


複数体ふくすうたいの魔物が出てきたときは、サイコキネシスによって一網打尽いちもうだじんだ。


(やはりサイコキネシスはラクでいい)


どんなタイプの敵でも楽勝。


状態異常じょうたいいじょう攻撃も全て潰せる万能能力ばんのうのうりょくだ。


俺はサイコキネシスの能力を惜しげもなく使い、あっという間にダンジョンを攻略していった。


やがてボス部屋の前にたどりつく。


巨大な扉。


この先にダンジョンボスがいる。


このダンジョンは、ボスを倒すと浄化され、魔物がリポップしなくなる。


さっさと片付けてしまおう。


扉を両手で押し開く。


重苦おもくるしい音を立てて開いた扉の先にいたのは、二つの頭を持ったライオン。


――――双頭そうとう獅子しし・ジギモス。


まがまがしい闇色やみいろと銀色の毛並み。


四本足のひじや、背中に生えた突起。


そして何より特徴的な、二つの頭。


豊富なたてがみは漆黒の色をしており、目は悪魔めいた赤色である。


こいつは攻撃と速度がすさまじく、ゲームで戦ったときには倒すのに苦労した相手だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る