第3章58話:荒野

<アンリ視点>


俺は森を抜ける。


さらに岩や崖がたくさんある荒野を歩く。


この荒野は【ソノラ荒野こうや】。


フィオリト岩原がんげんなどとは違って、みどりのなく荒廃した、赤茶あかちゃけた大地だ。


わずかに葉がついた木や、低木ていぼくが点在している。


ソノラ荒野は全長1~3メートルもある大きな魔物、岩石トカゲの縄張なわばりである。


岩石トカゲは、ゲームにおいても肉が美味びみであるという設定があった。


せっかくなので一匹、狩っていくことにした。


「ギュシャー!!」


と岩石トカゲが襲ってきた。


「ッ!」


念力格闘術の手刀しゅとうでねじ伏せる。


倒した岩石トカゲをアイテムバッグに入れる。


夕飯はこいつを焼いて食べようか。


しばらく歩く。


「ん……」


他のよりもひときわ大きな岩石トカゲに出会った。


全長10メートルはあるだろうか。


火の属性がないサラマンダーのような見た目だ。


巨大な魔物は上質な肉を有していることも多い。


よし、こいつも倒そう。


「ふッ!」


「ギュギャッ!?」


巨大岩石きょだいがんせきトカゲに蹴りを叩き込んで討伐する。


しかし。


(アイテムバッグが限界だな)


これだけ巨大な魔物を放り込むだけの空きがない。


早くアイテムボックスを手に入れたいものだ。


そうすれば、こういう魔物をいくらでも収納できる。


しかし、今はできないので、一定量の肉だけ切り取って持っていくことにした。





荒野を歩く。


やがて日が暮れてきた。


夕陽が地平線の山稜さんりょうに沈みかけている。


見晴らしの良い岩壁の上。


ここで野宿をすることにした。


テントを張る。


焚き火をおこす。


巨大岩石トカゲの肉を細かく切って、小枝こえだに突き刺し、焚き火の横に突き立てる。


野菜などを鍋に入れてスープにする。


10分ほど待つと、トカゲ肉が焼きあがってきたので、食べてみた。


「おお……これは美味いな」


ホルモンを食べているような、コリコリした歯ごたえ。


しかも肉汁が凝縮されており、タンパクさを感じることはほとんどない。


スパイシーな味わいだ。


これは良い。


酒を飲みたくなるな。


……さて、食事を終える。


もうやることがないので、さっさと眠ることにした。





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