第2章23話:討伐

「自分の拳に自信でもあったのか?」


俺はあおるように告げた。


「だとしたらうぬぼれだな。自分の実力は正しく理解したほうがいいぞ」


俺の言葉に、ブロースがビキビキと血管を浮かび上がらせる。


「な、なんだと!? テメエ……舐めたこと言ってんじゃねえぞ!!」


「別に舐めてはいないぞ。俺はいたって正当な評価を下しただけだ――――お前が、雑魚魔族ざこまぞくだという評価をな」


「……ッ!!!」


歯をかみ締めるブロース。


激怒げきどして、殴りかかってきた。


「テメエエェェエーーーーッ!!!」


ブロースの拳が炸裂する。


蹴りも飛んでくる。


俺は食らう。


食らう。


食らう。


食らい続ける。


9発ほど食らってから、俺はブロースの右手首みぎてくびをつかんだ。


「!?」


手首をつかまれたブロースが驚愕する。


「な、テメッ、離せや!」


「振りほどいてみろ」


俺は挑発的ちょうはつてきあおった。


ブロースが青筋あおすじを浮き上がらせながら、グググ、と腕に力を込める。


だが。


「なっ……動かねえ!!?」


ブロースが目を見開く。


もちろんこれはサイコキネシスで、ブロースの腕を固定しているだけなのだが……


傍目わためには、俺の腕力で、ブロースの手首をおさえているように見えるだろう。


サイコキネシスを腕力に見せかける【念力格闘術ねんりきかくとうじゅつ】である。


俺は告げた。


「俺の身体能力は、大陸最強だ。お前とは鍛え方が違う」


そう告げると、ブロースは悔しそうに歯噛はがみした。


「何者だよ……テメエ……!?」


「ただの旅人だ」


と俺は答えつつ、言った。


「さて、このまま握りつぶすか」


「!?」


俺は、ブロースの手首を握りつぶさんとして、力を込める。


握力を高めると同時に、サイコキネシスで、少しずつブロースの手首を圧迫していく。


「あ、ああああ、ぐあああああああッ!!?」


手首が潰されていく激痛で、ブロースが絶叫する。


「離せ、離せッ!! 離してくれえええええッ!!」


そんなブロースに対して、俺は静かに告げる。


「死ね」


「!?」


ブロースが目を見開く。


俺は、その脇腹わきばらに蹴りを叩き込んだ。


と同時にサイコキネシスを発動。


ブロースの肋骨ろっこつから心臓までを破砕はさいする。


「ぐがばぼっ!!?」


蹴りを食らって吹っ飛んだブロースが、目から、鼻から、口から、血をいて倒れた。


即死である。


「たお……した……?」


一部始終いちぶしじゅうを見つめていたオッサンが、ぽつりとつぶやく。


俺はアイテムバッグから剣を取り出した。


ブロースが万が一、起き上がってこないように、首をハネる。


ついでに脳みそもサイコキネシスで潰しておく。


これで完全に討伐は完了だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る