第2章20話:村
明らかに拳で粉砕したような
落石が
「殴りつける際、岩石の中に、力を伝えたのだ」
と俺は告げる。
「すると
さも極まった格闘術でやったかのように言ったが、もちろん実際はサイコキネシスだ。
念力を、まるで格闘によるものと見せかける【
女性は目を見開いたまま、つぶやく。
「は、はぁ……すごいんですね」
と感嘆していた。
俺は言った。
「とにかく、これで通れるな」
「はい……ありがとうございます」
と女性は微笑んだ。
「よろしければ村に立ち寄っていきませんか。お礼をさせていただきたいです」
「ああ、まあ……そうだな。事のついでだし、寄っていくか」
と俺は応じる。
すると女性は自己紹介をしてきた。
「私は、フレミアといいます。よろしくお願いします」
「俺はアンリだ。よろしく」
と名乗り返す。
するとフレミアは尋ねてきた。
「あの……もしかして貴族の方ですか?」
「ん……いや」
と俺は否定した。
もう貴族ではないし、
だから告げた。
「ただの旅人だ。でも、どうしてそう思った?」
「すごく育ちが良さそうな雰囲気をお持ちですので」
「……まあ、そこそこ裕福な家には生まれた。貴族ではないが」
と念を押しておく。
俺とフレミアは、道を歩き続ける。
やがて村に辿り着いた。
この村の名前は……たしかゲームではヒコ村といったかな?
人口200人程度で、
その魔族の
「……?」
俺は立ち止まる。
フレミアも立ち止まった。
村の様子が慌ただしいからだ。
「何かあったのか?」
「わかりません……まさか。いや、でも今日は」
などとフレミアが、
そのとき村人のオッサンが、フレミアの姿を見つけて声をかけてきた。
「おおフレミア!! 帰ってきたのか!」
「はい……何かあったんですか?」
とフレミアが問いかける。
するとオッサンが答えた。
「大変なんだ。魔族の……ブロース様が、おいでなんだ」
「なっ!?」
とフレミアが驚き、
「そんな、今日は来ないはずなのに……!」
とフレミアは非常に焦った様子である。
文脈から察するに、ブロースとは魔族なのだろうが……俺の記憶にない。
たぶんゲームでは魔族Aとかいう名前だったのだろう。
「ブロース様とは?」
と俺は尋ねることにした。
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