第1章14話:攻防2

絶叫するゴルドル。


青髪の男が、蒼白そうはくな様子で告げる。


「す、すまねえ。当てるつもりじゃ、なくて……」


味方をってしまったことをんでいるようだ。


そのとき赤髪の女が言った。


「いまのはあんたが悪いんじゃない。たぶんアンリがゴルドルを移動させたのよ」


青髪の女も同調する。


「そうね。アンリの能力は、おそらく周囲の物体をのままに動かすこと」


ふむ。


サイコキネシスはもちろん物体操作が可能だが……


それだけじゃない。


俺は言った。


「物体の移動だけではないぞ」


俺はサイコキネシスを使い……


ゴルドルの頭を押しつぶそうとする。


「あ、がああああああっ!!!?」


ゴルドルが絶叫した。


俺が開いた手のひらを、ぐっと握り締める。


次の瞬間。


ゴルドルの頭がひしゃげて、つぶれた。


血液と脳髄のうずいが吹き飛び、辺りに血だまりが広がる。


「このように、圧縮して潰すことも可能だ」


3人が絶句していた。


ゴルドルが死んだことが、信じられないのだろう。


「お、お前エエエエエエーーーーッ!!!」


ぶちぎれたのは赤髪の女であった。


りょうのひらをこちらに向けて、魔法を放ってくる。


それは水のかまいたちであった。


上級魔法じょうきゅうまほうであると、一目でわかる巨大な水のかまいたち。


エックス』の字の形をしている。


だが……


「……!!?」


俺は手のひらをかまいたちに向けて、サイコキネシスを発動する。


俺に向かって飛んできていたかまいたちが、空中で急停止きゅうていしする。


「ま、まさか魔法まで操れるというの!?」


赤髪の女が驚愕する。


俺は、サイコキネシスを使い、かまいたちを青髪の男のほうへ向けた。


「逃げて!」


と赤髪の女がさけぶ。


しかし、そうはさせまいと俺はサイコキネシスを使い、青髪の男の足を固定する。


動けなくなった青髪の男がさけぶ。


「う、ああ、あああああああああ!!!?」


青髪の男に、水のかまいたちが炸裂し、身体からだをバターのように切り裂いた。


まるで水圧カッターで切断されたかのような切れ味である。


青髪の男は、いくつかの部位に寸断すんだんされて、地面にくずれ落ちた。


もちろん、即死である。


「おっと、しまった」


と俺はつぶやいた。


「弓まで寸断されてしまったか。あれでは売り物にもならない」


青髪の男が持っていた弓。


それも、水のかまいたちによって切断され、残骸ざんがいとなってしまっていた。


戦利品として無傷で回収するつもりだったが……やってしまった。


「くっ……化け物が」


赤髪の女がつぶやいた。


女たちは、恐れの表情と冷や汗を浮かべている。


俺は言った。


「さて、あとはお前たち二人だけだな? さっさと終わらせてしまおうか」


俺は女たちに、手のひらを向けた。




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