第1章13話:攻防

バトルアックスを振りかぶった状態で制止する姿に、青髪の男が催促さいそくした。


「おいゴルドル! なにしてんだ! さっさと斬り殺せ!」


いまわかったことだが、赤髪の男はゴルドルという名前らしい。


明日には忘れてそうな名前だ。


「さて……」


俺はバトルアックスを奪うのも、壊すのも、自由である。


このまま破壊してやろう……と思ったが。


寸前すんぜんで、俺は考え直した。


サイコキネシスを使い、バトルアックスをゴルドルから奪い取る。


「ぬぁっ!?」


そのまま俺はサイコキネシスで、バトルアックスを遠くに放り投げた。


俺はつぶやく。


「武器は壊さないでおこうか。お前たちを殺したあとで、回収しなくてはならんからな」


こいつらの武具は、なかなか高値たかねで売れそうだ。


破壊するのではなく、無傷むきずで回収したい。


そんな俺の言葉に、ゴルドルが激怒げきどする。


「ナメるなッ!! テメエごときに、俺らが殺されるわけねえだろ!!」


俺は肩をすくめて、言った。


「あっさり武器を奪われておいて、なにをいきがってる? 威勢いせいがいいのは口だけか?」


「なん……だとッ!!!」


ゴルドルは、激しい怒りで顔をにした。


……と。


そのときだった。


「……!」


青髪の男が、背中に背負っていた弓を手に、矢を構えた。


こちらを目がけて放ってくる。


ただの矢ではない。


魔力を込めた矢だ。


だが……


もちろん俺はサイコキネシスで対処する。


サイコキネシスによって、ゴルドルを操り、矢の射線しゃせんへと移動させた。


「なっ!?」


青髪の男が驚愕きょうがくする。


次の瞬間。


ゴルドルの背中に矢が突き刺さった。


「ぐ、あああああああああ!!?」


ゴルドルが絶叫ぜっきょうを上げる。




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