第6話 つばさ

つばさは夕方にはすらっといなくなる。

バーテンダーをしてるんだって。

私達がハウスで飲む時は、つばさが

お酒を選んで、カクテルも作ってくれる。


つばさは自分のカラダが嫌い。

私からしたら羨ましいんだけど、

胸が大きいのが堪らなく嫌なんだって。

胸潰しのコルセットをはめてる。

髪の毛はベリーショートで、まるで少年のような顔立ちをしていた。

切れ長の目はどこか遠くを見ていて、この世界の人とは思えない時があった。


寒い夜にトイレに行きたくて目が覚めたの。

リビングを通ってトイレに行こうとしたら

冷たい風がカラダを突き抜けた。


「どこか開いてるの?

やだ、戸締り忘れちゃったのかな?」


縁側に人影を見つけた。

あの姿、、。

つばさ君だ。

彼は空を見てたんだ。

青白い光を浴びてね。

ゾッとするくらい美しかった。

「泣いてる、、。」


私には心底の理解なんてできやしない。

自分の気持ちとカラダがマッチしないキツさなんて。


「くそっ、あんな奴にやられちゃうなんて。

怖くて抵抗もできなかった、、。

あいつに触られたカラダなんて要らない。」

つばさが嗚咽しながら呟いたんだ。


なおみに夜の出来事を話したら、なおみはもう知ってたみたい。

つばさはね、お父さんに無理矢理されたんだ。

それを許した自分が弱すぎたからって

だから、強い男になりたいって思ってるんだって。


ねぇ、なおみ、あんた、、。

何でも知ってるね。

そう、私が知りたい事はなおみは知ってる。

何故なんだろう。





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