第13話
20××年4月3日 12時30分
「ん?意外と美味いな…」
完成したレトルトカレーと豚汁をもしゃもしゃと食べながら、ボーと誠二は今後の事を考えていた。
「確認確認と」
テレビを付けて見るがどの局も映らない。数日前にはまだ1つのチャンネルは写っていたのだが、数日前からこの調子なのだ。嫌でも現状の異常さを見せつけられてしまう。
(地上波はもうダメかもな)
「ネットはまだ使えるし凄いよな」
誠二がスマートフォンのライブ配信アプリを起動する。すると数は少ないが数人が今現在もライブ配信を続けていた。
「隣の家のクソ野郎が外でフラフラしてたからこいつで撃っちまったよ!いや~もう最高の気分だぜ!?」
画面ではサングラスをかけた男が拳銃をフラフラと画面に見せつけていた。
「あ~何々?「この犯罪者!!」だって~?…あははははは!お前本気でそんな寝言書いてんのかよ!?」
「警察なんてもう機能してねえよ!お前ら目を覚ませよ!今なら何をやったって良いんだぜ!?」
(…やべえやつだな)
誠二が別のチャンネルへと切り替える。その番組は誠二が情報収集兼暇つぶしに注目している番組だ。その配信者はパンデミック前から山で自給自足の生活をしていた。サバイバルの知識がある程度ある誠二からしても非常に得る物がある有意義な番組なのだ。
「この放送を見てる人がけっこういるみたいだから言うけど、こっちは酷い状況だよ」
「実はさっき車で街に降りてみたんだ。やっぱり実際に自分の目で世界を確認しておきたかったからね。だけど、正直辞めとけば良かったと今は思うよ…」
配信者が画面に右腕を映す。そこにはクッキリと歯形が浮かび上がっていた。
「噛まれたらもう終わりだ。噛まれてからまだ1時間ぐらいしか経ってないのに震えと吐き気が止まらない。だから伝えられる情報はみんなに教えておく」
それから男は非常に役に立つ情報を次々と語り始めた。その中でもっとも誠二の関心を引いた情報はゾンビの弱点についてだ。男の話でもゾンビの頭を破壊すれば活動が停止したらしい。
(やっぱ頭がゾンビ共の弱点か……)
「今の病院や飲食店は本気でヤバい。自警団なんていう怪しい組織がうろついて…て……てて?」
「…て、てて……や……ややば………」
「…………」
「……」
「……おあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
(……)
そのタイミングで誠二はスマートフォンのアプリを停止した。
「…まいったなこりゃ」
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