第18話 噂の美男美女

あの攻防から1週間。

ここクイーンズタウンではリュウト達はまた話題のタネになっていた。


「おい聞いたか?」


「何がだ?」


「あの銀騎士、ついに嫁さん見つけたらしいぜ?」


「マジかよ!?あの女殺しのリュウトが!?」


「あぁ……しかも相手はめちゃくちゃ美人らしい!」


「まじか、じゃぁブス専って噂は嘘だったんだな」


「それで言うと……一つ合ってたことがある」


「何だ?」


「美人は美人なんだが…………幼いんだ」


「あー……そう言うことか」



そう言う会話を机の仕切りごしに聞いてるリュウト。



「はぁ…………」


「どぅしたのっ?リュウト?ふかぃため息なんかしてっ」


「お前の事だよ、みや」


「??」


少女『みや』は、わざわざリュウトの隣に座って魔法治療で再生された腕に抱きついている。


腕を切り落とす後にリュウトはこうなる事を予測して毒が回っている部分だけをまた斬っていた。


なのであの場に落ちていたリュウトの腕は回収され後日治療出来た。


「世間では、歳が離れすぎている人を好きになったら気味悪がられるんだよ」


「ぅーん、たしかにっ!私よりずーーっと歳下だもんねっ、リュウトはっ」


「自分の見た目を見て言ってほしい発言だな」



彼女の見た目は顔立ちがあどけなく幼い、まるで年齢が止まっているかのような、無垢な表情が彼女の幼い外見を際立たせている。

彼女の長い髪は、真っ白の雪原。

その髪は肩を優雅に超えて流れ落ち、小さな体にふわりと広がり、儚げな印象を醸し出している。


だが本性は蛇。


とてつもなくでかい白蛇だ。


「ぅーんっ?」


「ま、関係ないか、前にも言ったが俺は好きな人がいる」


「ぅんぅん、だからそぃつにぁったら殺すね」


「その時は俺がお前を殺すかもな?」


「リュウトに殺されるならぃぃょっ」


「……お前を見てると鏡を見てるみたいだ」


「それでっ、これからどぅするの?」


「ああ、まずはギルドに登録して正式に俺の__」


「妻?」


「話は最後まで聞け、正式に俺のパーティーになってもらう」


「ぅん、分かった」


そう話していたら頼んでいないのにラバーフィッシュのフレイムスープが来た。


「頼んでないけど?」


「ギルドからのサービスです、お連れの方も」


ミクラル王国の溶岩地帯に生息する「ラバーフィッシュ」という魔物魚の肉を使ったスープ。

ラバーフィッシュの肉は火に強く、煮込んでも溶けずにぷるぷるとした食感が残る。


「ありがとう」


「いえいえ、ごゆっくりと」


そう言って渡してきたギルドのお姉さんは少し怒ってるように見えた。


「リュウトっ」


「なんだ?」


「それ、めっちゃげきからっ」


そう言うみやの目には蛇のマークの魔眼が輝いていた。


「そうか、その情報は助かるがむやみやたらに『解析』を使うな、見られたらどうする?意外と目立つぞ」


「ぅんっ、わかった」


「……」


よくよく考えるとあのギルドの姉さんはこの前フッた相手か……


「だとしたら、食べないとなぁ」


「食べるのっ?」


「俺は一人の人間を好きになったから、恋愛に関しては痛いほど分かるんだ、気持ちがね」


あの人はこう言うことをして自分の心を押さえつけてるんだろう、なら答えねば!


「あむ……んぐ!!」


か、からい!いたい!

味なんて無視!ただただ辛いし舌が痛い!

もう食べたくない!だが…………アオイさんの為に!


気合いで無理やり喉をくぐらせ激闘し喰らい尽くした。


「はぁ……はあ……」


終わった頃にようやく水をギルドのお姉さんは持ってきてくれた。


「待って」


水を置いて立ち去ろうとするのを止める。


「この少女は俺のパーティーだから、好きな人じゃないから!」


「そ、そう、解りました」


驚きながらもその言葉を聞いてお姉さんは持ち場へ帰って行った。


「なんでぁんな事ぃったの?」


「はぁ……はぁ……誤解を解くのは大事だから……な」


「ふぅーん?堂々とフラれたみやの気持ちは?っ」


「いつか、な」



そのままギルドの登録を済ませリュウトは魔王とパーティーになった。






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