私からあなたに特等席を

月見

プロローグ、主人公として、よく出来た話を観たい訳じゃ無い

面白いくらい出来た転落劇。




どこを探られたって埃の出ないあたしに火種を持ち込んで玄関で燃やされたみたいにして、たった一人、たった一カ月半であたしは窮地に立たされた。


目の前に、多分染め過ぎで荒れた他人のキンキラ髪が垂れ下がりタバコ臭を嗅がせてくる。息をしたら咽せるし息止めてもいられないし、何よりマスカラつけまつげの毛虫付き目が動いたら次のビンタを飛ばすぞと睨む。


すでにぶたれた左頬はジンジン熱くなるばかり。風が無く蒸した空気に気持ち悪い背中汗が伝う。


「謝ったら許してあげない、けど解放してあげるよーここから」

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