不思議な星人〜異星人がはるばる降り立った星に来た目的は侵略だった〜
赤坂英二
第1話 降り立った異星人
西暦約四千年頃であろうか、ある美しい水の惑星に一隻の巨大な宇宙船が近づいていた。
「船長! 目的の惑星が見えてきました!」
一人の操縦士の隊員が声を上げた。
「おぉ! 遂にか、ここまで長い道のりであった」
隊長の男は大きく息をはいた。
広い広い宇宙の空間に「それ」、自分たちの故郷に似た星を見つける、それはミクロの穴に糸を通すような無理難題であった。
「いよいよか…緊張しますね」
操縦士の彼は顔を固くして言った。両手の手汗を拭う。
「落ち着け、そこまで気に病む必要はない。あの惑星は我々の惑星と同じで昼も夜もあり、環境が似ている。それに住人はとてもおとなしい民族で遥か昔からほとんど生活や文化を変化させていないとという話だ」
「それなら私達のの目的も達成できそうですね」
操縦士は顔の頰を緩めた。
「うむ、今回は視察だが、最終的な目的である、惑星の住人を捕虜にして連れて帰ることも簡単だろう」
船長は胸を張って答えた。これが彼の初任務であり、他の惑星に行くなどはじめてである。しかし部下の士気を高めるため、部下の不安を取り除くため虚勢を張った。
「でも船長、仮に彼らが拒否したらどうします?」
「その時は我々の科学力を見せて、屈服させるまでさ。なーに、心配いらない、奴らには我々ほどの戦闘力など持っているはずもない。この船が降りるのを見れば恐怖で震えて一発で何でも言うことを聞くようになるさ!」
船長はニカっと笑った。
「そうですよね。さぁ見えてきましたよ。あれが目的の星かー。見れば見るほどそっくりですね、私達の星に」
「よし! 総員、着陸準備だ!」
船はゆっくりと降下していき、遂に着陸をした。
「船長! 大気の成分、重力も我々の星と同じです。宇宙服はいらないでしょう」
係りの男がそう叫んだ。
「よし、降りる準備をするのだ!」
船長を含む乗組員の大半が外に踏み出した。
「船長! 星の住人が近づいてきます」
一人の隊員が指差した方を見ると、ゾロゾロと住人が歩いてきた。
「驚いたな、噂通りに我々と同じ姿をしている。」
その星の住人は頭の先から足のつま先まで隊員達と全く同じ姿をしていた。
そればかりか、
「ようこそ、いらっしゃいました」
人間の一番先頭にいる男が丁寧に笑顔で挨拶をしてきた。
「私はこの街の市長をしております」
彼は丁寧に一礼をした。
「見たところ、遠くよりおいでなさったようで、お疲れでしょう。ささやかながらおもてなしをさせていただきたいのですが…」
(なんと呑気な民族なのだ)
船長は彼らが驚愕の反応をすると予想していたのでこのような丁寧な対応に逆に彼自身が驚いた。
降り立った者全員がぽかんと口を開け唖然とした。
「ここの住人、緊張感がなさすぎる・・・!」
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