エピローグ

ベーシックインカムの試験期間が終了し、サンノソの町は新たな章を迎えていた。町会議での熱い議論と共有された数多くの経験は、町全体の未来を形作る貴重な礎となった。住民たちは、経済的な支援が単なる手当て以上のものであることを実感し、それが如何に社会的な連携を促進し、個人の成長を支えるかを学んでいた。


ジュンは新しい職場での役割を確固たるものにし、彼の技術と情熱は会社だけでなく、地域社会にも貢献していた。彼は若者たちに向けた技術教育プログラムを立ち上げ、次世代に彼自身が受けたチャンスを提供するために尽力していた。


マユのカフェ「ハーモニカ」は、町の象徴的な場所となり、地域の人々だけでなく、遠方からの訪問者にも愛される場所となっていた。彼女の初めの一歩が、多くの人々に影響を与え、新しい企業やプロジェクトが町中に芽吹くきっかけとなった。


町はベーシックインカムの恒久的な導入に向けて動き出しており、その過程で、ジュンとマユは政策形成に参加するようになっていた。彼らの経験と声が、より公平で持続可能な社会を築くための議論に不可欠なものとなっていた。


変化の中で、サンノソの住民たちは一つの大切な真実を見出していた。それは、ベーシックインカムが単に金銭を提供するだけでなく、人々の潜在能力を解放し、互いに支え合うコミュニティの真価を引き出す力を持っているということだった。


エピローグでは、サンノソの町が見せる希望の灯火が、遠く未来までも照らし続けることを願いながら、物語は静かにその幕を閉じる。ベーシックインカムの試みから始まった小さな一歩が、広がりを見せる中で、町の人々は新しい日常を歩み続けている。

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基本所得の街 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

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