ノンフィクション漫才!

崔 梨遙(再)

第1話  バツ2

AB「はい、どうも-!」

A「いやー! 相変わらず離婚が増えてますね」

B「僕も2回、離婚してるんですよ」

A「こいつバツ2なんですよ」

B「今日は離婚について語ろうかなと思います」

A「ほな、語ってちょうだいや」

B「まず結婚して2週間!」

A「たったの2週間!」

B「嫁の借金の督促状!」

A「幸せだったの2週間だけ!」

B「払いましたよ、嫁の借金」

A「払わなしゃあない、借金は。嫁はなんて言ってたん?」

B「ごめん、払っといて」

A「誠意が無い!」

B「それから1ヶ月後!」

A「結婚してから1月半ね」

B「嫁、浮気!」

A「これは大変や、なんで浮気バレたん?」

B「電話機の横のメモに、11時、駅前、けんちゃん、ハートって書いてましたわ」

A「そこはビシっと怒らなアカン」

B「帰って来た嫁にそのメモ見せたら」

A「さすがに謝るやろ」

B「走って逃げようとした」

A「どこへ逃げるねん」

B「勿論、捕まえて、“これはなんやねん、浮気したやろ!”」

A「そりゃあ、まあ、認めにくいことやけど」

B「“浮気したやろ?”、“してない”、“浮気したやろ?”、“浮気したやろ?”、“した!”」

A「認めるの早いなぁ」

B「問い詰められるのが苦手らしいわ」

A「ほんで、どうしたん?」

B「離婚したかった」

A「離婚したったらええねん!」

B「僕、バツ2になりたくなかったんや」

A「ほんで許したんかいな」

B「僕の目の前で、浮気相手に電話して別れろと」

A「ほな、電話したやろ」

B「電話を渡された」

A「なんでやねん」

B「別れ話が出来へんから、僕から電話して縁を切れと」

A「ダメダメな嫁やな」

B「しゃあないから、浮気相手に電話したがな」

A「ほな、なんて?」

B「結婚したこと知らんかったと」

A「嫁、なんで言わへんねん?」

B「特に“結婚したかどうか?”質問されへんかったから言うてなかったらしいわ」

A「普通、“最近どうや? 結婚したか?”とか聞かへんやろ」

B「ほんまに頭に来たわ」

A「でも、我慢したんやろ? ほんで?」

B「それから更に1ヶ月後」

A「結婚して2ヶ月半やね」

B「また嫁の借金督促状」

A「またかいな、どうしたん?」

B「払わなしゃあないやんか。でも、嫁に言うたで、自分の借金分くらいはバイトしろ!って」

A「ほんなら?」

B「うん、バイトするって言いつつテレビ見ながらケツをボリボリかいてたわ」

A「はい、働く気が無いね」

B「更に1ヶ月後や」

A「順番で言うたら浮気やろ?」

B「先に言うなや、その通りやけど」

A「今度は、なんでバレたん?」

B「嫁が“カバンから携帯を取ってくれ”って言うたんや」

A「取ったったら、ええがな」

B「ほな、カバンにメモや。11時、駅前、しんちゃん、ハート、これや!」

A「どんだけ駅前好きやねん!」

B「気にするの、そことちゃうやろ!」

A「どんだけ11時が好きやねん!」

B「それも違うわ」

A「ほんで、どうなったんよ?」

B「結局、借金3つ払って、3回浮気されたわ。4回目の浮気で離婚を決めたわ」

A「頑張って3回は耐えたんや」

B「“離婚やー!”って言うたら、嫁が1番大きい包丁を持ってきて」

A「おいおいおい」

B「“離婚するなら死んでやるー!”って言うと思ったら」

A「思ったら?」

B「“離婚するなら殺してやるー!”って、包丁を振り回されたわ」

A「借金払わされて、浮気されて、殺されるんかいな」

B「刃物全部没収して、“朝になったら実家に帰れよ!”って、それから寝たわ」

A「寝てしまえ、そういう時は寝るのがええねん」

B「ほんなら、ごっつ息苦しいねん」

A「なんでまた?」

B「薄目開けたら、嫁がネクタイで僕の首を絞めてたわ」

A「怖いな、それ本気のやつやんか」

B「咳して目を開けたら嫁と目が合ったわ」

A「ほう、ほんで?」

B「しばらくしてから、嫁が“ダメ、やっぱり出来ない”って抱きついてきたわ」

A「いやいや、出来てたやんか」

B「夜中やったけど、朝まで待たれへん、タクシー呼んで実家に帰らせたわ」

A「ほんで、離婚か?」

B「嫁が離婚届にハンコ押してくれなかったから調停3回」

A「ほんで、今、1番ほしいものは?」

B「嫁」

A「懲りへんなぁ、もう、ええわ」







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